【マンガ】これが資料作成の恐ろしさ……! “ちょっとした書き間違い”から登録抹消された元・世界遺産 ドイツ・ドレスデン
わずか5年間で……。
ピラミッド、ヴェルサイユ宮殿、万里の長城など、世界各地の名所が登録されている世界遺産。よくニュースとして取り上げられるのは登録が決まったタイミングで、その後の話はあまり聞かないのではないでしょうか。
実はドイツには「小さなミスを発端に、登録からわずか5年で世界遺産を“引退”してしまった場所」があるのだとか。
解説
ドイツ東部に位置するドレスデンには18〜19世紀の建造物などが残っており、2004年に「ドレスデン・エルベ渓谷」として世界文化遺産に登録。しかし、2009年、「文化的な景観を損ねるヴァルドシュロス橋の建設を始めたから」という理由で登録抹消されてしまいました。
国交省の関連機関の調査によると、このトラブルの原因は“資料の書き間違い”。世界遺産への登録申請書には「申請エリア“内”に、ヴァルドシュロス橋の建設計画がある」という旨が記載されていたとのこと。しかし、その内容を翻訳した資料にミスがあり、橋の建設予定地が「申請エリア“外”」になっていたそうです。
これにより、「新しく作る橋は世界遺産の内側か、外側か」という認識がかみ合わなくなり、いざ橋の建設を実施する段階に入ると、ユネスコから「そんなことをしたら、世界遺産のタイトルを抹消する」と通告があったとのこと。その後、さまざまな形で調整が図られたそうですが、結局、ドレスデンでは住民投票をへて橋の建設を進めることが決まり、世界遺産ではなくなってしまいました。
なお、ユネスコ側は「ヴァルドシュロス橋を含まないようにエリアを変更すれば、再申請は可能」との声明を出しているとか。しかし、これをクリアするには「どこを世界遺産に入れて、どこを除くか」という問題について市民から合意が得られる案をまとめる必要があり、一度失った世界遺産の地位を取り戻すのは簡単ではない、と考えられているようです。
主要参考文献
- Dresden is deleted from UNESCO’s World Heritage List(UNESCO World Heritage Centre)
- ドイツ・エルベ川における橋の建設と世界遺産タイトルの抹消についての調査(国土交通政策研究所)
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