「漫画村」裁判の原告が現状を漫画化して公開 拠点とみられる超高層タワーマンション特定方法も語る
「漫画村」運営者をどうやって特定したのか聞きました。
海賊版サイト「漫画村」の実質的運営者とみられる人物を特定した、東京フレックス法律事務所の中島博之弁護士がねとらぼ編集部の取材に対し、どうやって運営者を特定したのかを明かしました。また、漫画家で原告のたまきちひろさんからは、裁判や運営者特定の舞台裏を漫画化したものも提供いただきました。
漫画家のたまきちひろさん(著書に『人生リセット留学。』や、ドラマ化された『Walkin' Butterfly』など)と、代理人の中島弁護士が「漫画村」へサーバ提供を行っていた米Cloudflareに対し、運営者情報などの開示を求める訴訟を起こしたのは4月16日のこと。
裁判所からの正式な海外送達には時間がかかるため英訳の訴状・証拠書類(アクセスログなどの漫画村の情報の保全請求も含む)を中島弁護士が準備するなどしてやりとりした結果、8月16日には米Cloudflareが「漫画村に関するアクセスログ」を中島弁護士に対して開示しました(関連記事)。
開示されたアクセスログ内の通信を解析したところ、匿名化されていたり、海外からのものがほとんどであったとのこと。しかしログ内には米Cloudflareにログインして「漫画村」サーバと同期作業等を行うために必要な“管理者用の「メールアドレス」”が残されており、中島弁護士はこれに着目。海外に拠点を置くとされる「W社」のドメインが使用されていたことから、この会社の登記情報について調べ始めました。
しかしアメリカの複数の州で調べてみても「W社」の登記情報が見つからなかったため、今度は海外のデータベースにこのメールアドレスの情報がないか調べたところ、アドレスにはいくつかの電話番号がひも付けられていることなどが発覚。その後は法的な手続きを経て、「漫画村」の実質的管理人がW社の経営者であるH氏と突き止めました。
中島弁護士によると、H氏は都内の超高層マンションに拠点を構えていたとみられており、日本国内からのサイト更新はここから行われていた可能性があります。
こうした特定について中島弁護士は過去にサイバー犯罪で警察に協力した経験や、不正アクセスをした人を民事的に特定した経験が生きたと話し、「星の数ほどあるログの海から運営者を見つけました」と振り返りました。また今後については「今回の手続を通して見えてきた法制度の不備や改善案についても情報発信をしていこうと思います」と語りました。
なお米Cloudflareとの訴訟については、米Cloudflare側が判決直前になって「全面的に争う」との答弁書を送ってきたことから、東京地裁が判決日前日に弁論の再開を決定したため継続中。異例の判決延期から現在に至るまでの状況や原告側の主張をたまきさんが「漫画でやられたことは漫画で返す!」一連の経緯をロックな意気込みで漫画に。完全版は「反響があれば後日公開を検討します」とのことです。
たまきちひろ先生作「漫画村漫画」
画像提供:中島博之弁護士
(Kikka)
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