ゲーム業界人はプレイ動画をどう見ているのか?
CEDEC 2011に参加された皆さん、お疲れ様でした。実は3日間、ひそかにインタラクティブセッションのコーナーにブースを出展していた筆者です。
詳しいセッション内容についてはまた別の機会に改めて紹介したいと思いますが、ざっくりと言えば「ゲームのプレイ動画ってどういう人が見ているの?」という内容。で、せっかくのインタラクティブセッションなので、ブースを訪れてくださった皆さんに、ゲームのプレイ動画についてのアンケートを行ってみました。
今回質問したのは「1:プレイ動画をよく見るかどうか」、「2:プレイ動画は業界にとってプラスかマイナスか」、「3:プレイ動画に宣伝効果はあると思うか」、「4:プレイ動画は“黙認”のままでいいのか」の4項目。なるべく気軽に、より多くの人に答えてもらえるよう、質問はすべて2択形式とし、ホワイトボードにシールを貼ってもらう形で回答していただきました(テレビの街頭インタビューなどでよくあるアレ)。
CEDEC会場内でとったアンケートということで、当然ながら回答者はほぼ全員がゲーム業界関係者。ネタバレや著作権などの問題から、メーカーやクリエイターからは問題視されることもあるプレイ動画ですが、実際のところ、ゲーム業界人たちはプレイ動画についてどのように感じているのか? 結果は次のようになりました。ドン!
1:プレイ動画をよく見るかどうか?(回答数:62人)

- よく見る:45人(73%)
- あまり見ない:17人(27%)
全回答者の73%が「よく見る」と回答。そもそも展示に興味を持っていただいている時点で、ある程度プレイ動画への関心が高い人が多かったのだとは思いますが、それでも予想以上に多くの人がプレイ動画を見ている、という印象を受けました。
2:プレイ動画は業界にとってプラスか、それともマイナスか?(回答数:62人)

- プラス:55人(89%)
- マイナス:7人(11%)
これについては、実に89%もの回答者が「プラス」と回答。逆に「ゲーム業界にとってマイナス」だと答えた人は、全体のわずか11%にとどまりました。
ただ会場での様子を見ていると、プラスと答えた人でも、迷わずプラスにシールを貼っていく人はごくまれで、実際はかなり迷った末に、「強いて言えば、プラス、かなあ……」といった貼り方をしていく人が非常に多かったことも付け加えておきます。
3:プレイ動画による宣伝効果はあると思うか?(回答数:98人)

- あると思う:91人(93%)
- ないと思う:7人(7%)
プレイ動画による宣伝効果については、全体の93%が「あると思う」と回答。割合としては「プラスか、マイナスか」と同じような結果になりましたが、こちらはほとんどの人が迷わず「あると思う」に貼っていたのが印象的でした。
4:プレイ動画は“黙認”のままでいいのか?(回答数:97人)

- 現状のままでよい:43人(44%)
- いいにしろ悪いにしろ、どこかで線は引くべき:54人(56%)
最後の質問はちょっと難しく、来場者の間でも大きく意見が割れた形となりました。著作権やネタバレなどの問題をクリアにするなら、認めるにしても否定するにしても、どこかで線は引いた方がいい。しかし現実的に考えると、やはり結局は黙認が一番安定しているのではないか……。最終的にはわずかに「どこかで線は引くべき」が上回りましたが、ここでもかなり悩んで回答している人が多かったのが印象に残りました。
会場ではこれ以外に、「ゲームのプレイ動画、どう思いますか?」というボードも用意し、ここではある程度自由に、プレイ動画について思うことを書き込んでいただきました。以下、来場者からいただいたコメントを抜粋して紹介します。

- トレーラー映像などでは伝わらない「体験」を伝えられる
- ストーリーのあるタイトルではやめてほしい
- 謎解き要素のあるゲームではネタバレになってしまう
- 格闘ゲームなど、競技性のあるタイトルは向いている
- シューティングなど自分ではできないゲームのスーパープレイはよく見ます
- 実際にプレイ動画を見てゲームを購入したことがある
- プレイ動画を見て満足してしまい、買わなくなったこともある
- 購入を迷っているゲームが、本当に面白いかどうか確かめるために見る
- 権利者側の弾力的な対応に期待
- 開発者としては複雑な気分
- マイナス面もあるが、強いて言えばプラス面の方がほんの少し上だと思う
- 黙認している現状が一番宣伝効果が高いのでは
- 宣伝効果については間違いなくあると思うが、どれくらいあるかが見えない
- 本音を言えば「黙認」が一番楽
- ゲームファンの層を広げてくれているのは事実だと思う
ほんの数年前、まだニコニコ動画などがなかったころには、一部のコアなゲームファンの遊びでしかなかった「プレイ動画」。しかしここ2〜3年で一気に敷居が下がり、誰もが当たり前にゲームの動画を投稿したり(著作権などの問題をはらみつつも)、見たりできるような時代になりつつあります。
現状ではメーカーの黙認が大前提で、法的にはグレーゾーンのまま成り立っている「プレイ動画」文化ですが、業界側としてはどのように向き合っていくべきなのか、今後も考えていく必要がありそうです。
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