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フランス・パリで7月5日〜8日にかけて開催されたJapan Expoは、4日間でおよそ20万人が集まる巨大イベントだ。国境を超えてヨーロッパ中からたくさんのオタクがやってくるため、現地のマンガ出版社にとって格好のプロモーションの場となっている。
フランスの場合、日本のマンガのほとんどは日本の出版社の海外支社や子会社ではなく、フランス人が独自に設立したマンガ出版社から刊行されている。そのため日本では見られない個性的なプロモーションが多く見られた。今回、その中から特に面白かったものをいくつか紹介しよう。
フランス人も風呂桶を小脇に抱えて
フランスで「NARUTO -ナルト-」(岸本斉史)や「君に届け」(椎名軽穂)を出版しているKana社。今年の一押しは、「アイアムアヒーロー」(花沢健吾)だ。特設ブースではゾンビになるための特殊メイクが体験でき、辺りはまさにアイアムアヒーローの世界に。増殖したゾンビたちは会場中を練り歩き、なかには自身のコスプレとあいまってかなりレベルの高いゾンビもいた。




またKana社の看板作品である「NARUTO -ナルト-」は、フランスで刊行されてから今年でちょうど10年のアニバーサリーイヤーだ。Kana社ブースとは別の一角でナルトの特別展示が行われており、ナルトを原作としたアニメ・ゲームなどのメディアミックス作品や原画(一部複製原画)が紹介されていた。フランスでトップの人気を誇るマンガの展示とあって、多くの人でにぎわっていた。





「タンタンの冒険旅行」などを出版しているバンド・デシネ(フランス語圏の漫画)の老舗出版社であるCastermanは日本マンガの出版にも力をいれている。
フランスでは今年3月に第1巻が発売された「テルマエ・ロマエ」(ヤマザキマリ)。主人公・ルシウスの衣装をまとい、桶やドライヤーを持つフランス人の姿はまさにマンガから飛び出してきた登場人物のようだ(※実際はローマ人だが……)。売れ筋はもっぱら少年マンガのフランスだが、「テルマエ・ロマエ」は好調な売れ行きを記録している。



今年ゲストとしてJapan Expoに招かれた浦沢直樹氏の展示では、カラー複製原画や人気キャラクターのパネル、20世紀少年「ともだち」の等身大模型が並んでいた。なかには読書スペースも用意されており、来場者が時間と場所を忘れて浦沢作品に読みふける光景が見られ、日本のマンガ喫茶のようだった。






日本人の手を離れ、海を渡ったマンガが多くの人に愛されている陰には、このように現地の出版社や編集者の創意工夫があることを覚えておきたい。
著者紹介
坂井拓也 SAKAI Takuya
大学院にて、日本とフランスのマンガ文化の研究を行う傍ら、フランスにおける日本のポップカルチャーについてなどの記事を執筆している。Twitterは@ahYouthfuldays、ブログはJapan.fr。
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