

チルトシフト風の背景にフィギュアを合成させた作品で人気を集めるクリエイター、木村世忍さんにお話をうかがっている。前回の記事はこちら。
ミニチュアのフィギュアと現実世界が同じスケールで共存しているというありえない光景のはずなのに、目に何の違和感も与えず私たちを楽しませてくれる点が、木村さんの作品の魅力の1つだろう。
前回は、撮影の際の興味深い工夫について教えていただいた。加工作業の段階では、どういったこだわりがあるのだろうか。

Q. 撮影の段階からすごく細かく工夫されていましたね。加工作業も、それだけデリケートなんでしょうか。
A. 1分の1の合成ですので、とても繊細です。人間の目って、無意識のうちに違和感を感じ取ってしまうので、かなりシビアに調整していきますよ。何枚か撮った写真を合わせて理想的な作品に近づけていくのですが、ジオラマや実写と同じように目が感じ取ってくれるよう、かなり頑張ります。

Q. 遠近感をつける方法も、自我流なんですよね。
A. そうですね。僕のやり方としては、まず下から上にグラデーションを作って、何も障害物が無い状態のシンプルな遠近感をイメージします。そこから実際に映り込んでいるビルなどの距離に合わせて、フォーカスを合わせていくんです。計算というよりは、自分の目を信じて自然な距離感を生み出せるようにしています。背景とフィギュアの一体感を出すために、レンズは普通の一眼レフを一貫して使うようにしているので、Photoshopの加工頼みです。ですから、僕の作品はチルトシフトレンズを使っているわけでも、チルトシフトのソフトを使っているわけでもありません。あくまで「チルトシフト風」なんですね。

Q. 一体感を出したいけれど、フィギュアと背景は別で撮影するんですか。
A. 合成に慣れてくると、単体で撮った方が綺麗に仕上がると改めて気づかされました。背景画像の中でも、ビルやタワーを入れてあり得ない光景を作り出すことも出来ますしね。それぞれ単体で合成素材を撮って、少しぼかしながら合成した方が精度が高い綺麗な仕上がりになるんです。こんなに時間がかかることをやってる人は、他にいないでしょうね(笑)。
実在する場所にごく自然にフィギュアが紛れ込んでいる、そんな非日常な風景。木村さんの作品が持つ独特の世界観は、その独自性の高い手法が生み出しているのだった。最高にオリジナルで不思議な空間を、ぜひあなたにも覗いてみてほしい。
英文:A Mysterious World in Tilt-Shift Style – Creator Interview: Kimura Yoshinobu Vol.2
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