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東京ゲームショウ2013に行ったら、神奈川工科大学が参考出展している「アオモリズム」を見にいったほうがいい。手作りな筐体とねぶた囃子、そしてモニターには「ホッカイドウが攻めてきたど」の文字が踊る。あの“試される大地”北海道が攻めてきただと? 青森ヤバイ!


授業で地名を使ったゲームをブレストしていた時、学生の1人が「青森を育てて北海道を小さくするゲーム」を提案した。本州最北端でありながら、“北のイメージ”を北海道に奪われがちな青森との位置関係に注目し、「津軽海峡をはさんで勝負する」「北海道はでかすぎる」といったキーワードが飛び出した。そんな時、「アオモリズム」というタイトル候補が浮かび上がる。「下北半島と津軽半島が腕に見える」→「それが動いたらかわいい」→「その腕で北海道と殴りあう」→「特産品を投げ合ってそれをリズムに合わせて殴る」――こうしてリズムゲームへとイメージが固まり、侵略リズムアクション「アオモリズム」が誕生した。

ゲームは北海道の一方的な攻撃から始まる。北海道は青森に対してカニやサケやチーズといった特産品を投げてくる。この北からの情け容赦ない贈り物に青森は津軽海峡でリズムに合わせて迎え撃つ。リズムアクションゲームにありがちな固定の枠内に特産品が来たらタイミングよく押すアレだ。その後、特産品ではラチがあかないと北海道は函館あたりの出っ張りで直接攻撃へ打って出るが、青森だって下北半島と津軽半島の“両腕”で防戦。特産品ではなく北海道からのゲンコツをタイミングよく押したり、連打につぐ連打で耐えしのぐ。うん、防戦一方だ。青森ヤバイ。



だが、ここからが青森の反撃。事態を知った東北勢が立ち上がり、青森のリンゴやマグロのほかに、秋田のきりたんぽや岩手のわんこそば、山形のサクランボなどの救援物資が津軽海峡に送られてくる。まさに援護射撃を受けた青森は、それら特産品を北海道にリズムに合わせてブチ当ててダメージを与えていく。乱れ飛ぶ双方の特産品。飛ばした特産品で北海道のライフがなくなったら、その分の土地を奪って北海道が小さくなる。以後、繰り返しだ。津軽海峡をはさんだ百年戦争の始まりだ。

長くなったがゲームのあらましがご理解いただけただろうか? 分からない? 大丈夫、書いている自分も何を言っているか分からないから。青森ヤバイってことだけ理解してもらえばかまわない。とりあえず動画を見ていただこう。
ちなみにこのゲーム開発を指導したのは神奈川工科大学情報学部情報メディア学科で特任准教授をしている中村隆之氏。あのことばのパズル「もじぴったん」シリーズを手がけたプロデューサーだ。中村氏の経験と、学生の自由な発想、そして彼らのアイデアがアイデアを呼び寄せる爆発力で「アオモリズム」は誕生した。ゲームに合わせて筐体も独自に開発。東京ゲームショウ会場では実際に遊ぶこともできる。
青森県と北海道が実際に北の覇権を争っているかどうかは分からない。ただ、東京ゲームショウでもっとも心引かれたのは確か。そして、青森がヤバイってことも確かだ。おのれ北海道!
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