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だって、夜はいないと思うじゃない
1942年10月11日に起きたサボ島沖海戦は、第6戦隊の重巡洋艦「青葉」「衣笠」「古鷹」「加古」とその護衛の第11駆逐隊第1小隊「吹雪」「初雪」が、レーダーを使った敵艦隊の待ち伏せで“えらい目”にあった夜戦だ。この戦いで青葉大破、古鷹と吹雪が沈没、衣笠と初雪が小破した。しかし、日本軍も古鷹と衣笠、初雪の反撃で敵駆逐艦1隻を撃沈、重巡・軽巡・駆逐艦それぞれ1隻を撃破している。
日本軍をレーダーで先に見つけていた米軍は、きれいな丁字で迎え撃つ……はずだったが、直前の順次回頭で陣形が崩れて混乱したのと、旗艦の旧式レーダーでは発見できず、司令官が味方駆逐艦の可能性を疑ったため先制攻撃ができなかった。敵味方識別で攻撃できなかったのは米軍も同じだったことになる。日本軍も攻撃を受ける前に敵を発見していたが、第6戦隊旗艦の青葉が味方と誤認して敵味方識別の発光信号を送っているうちに敵の集中砲撃が次々と命中してしまう。
“出会い頭の一発”で青葉と吹雪がガスッっとやられて右に逃げる。古鷹はいったんは行動計画通りに左に逃げたが、青葉を助けるために右に戻って敵から青葉をかばいつつ反撃する。しかし、古鷹は敵巡洋艦を撃退したものの青葉の身代わりとなって沈没してしまう。衣笠と初雪は左に回避しながら反撃を行い敵駆逐艦を撃沈。さらに、有効な砲撃で敵巡洋艦を次々と撃退していった。
サボ島沖海戦は、「日本が負けた初めての夜戦」と評価されているが、自分より優勢な敵艦隊(巡洋艦4隻・駆逐艦5隻)に丁字で頭を押さえられる圧倒的に不利な状況から果敢に反撃して、古鷹と吹雪を失いながらも敵駆逐艦1隻撃沈、敵巡洋艦2隻・駆逐艦1隻撃破の戦果を挙げている。夜戦に強い日本海軍は依然として健在だった。



敵の初弾で負傷した第6戦隊司令官は戦闘終了後に死ぬまで同士討ちと信じていた。当時の日本海軍は「米水上艦艇は夜間に出撃してこない」と考えていたのに加えて、同じ夜に重火器砲弾食糧を輸送する水上機母艦「日進」「千歳」と直衛の駆逐艦「秋月」「夏雲」、そして、駆逐艦輸送として「綾波」と第9駆逐隊「朝雲」、第11駆逐隊「白雪」「叢雲」が同じ海域で行動していた。
こういう前提条件を考えると、暗闇の海に艦影を発見したら、まず「おや、あれは日進か千歳?」と考えたのもやむ得ない。暗闇の海を自分で航海した経験がある俺提督としては第6戦隊司令官に同情を禁じえなかったりする。
輸送部隊は第6戦隊が撃たれまくっている間に揚陸を終えて全艦無事に退却する。しかし、夜が明けてから青葉を救うために戻ってきた叢雲と夏雲はヘンダーソン基地からの航空機攻撃を受けて沈没する。その乗員を救助したのは前夜の戦いを生き残った初雪だった。
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