今、観光地としてひそかなブームが起こりつつある高鍋大師(宮崎県児湯郡高鍋町大字持田)。宮崎県宮崎市から車で40分。海岸沿いののどかな町、児湯郡高鍋町に、一風変わった巨大仏像が鎮座している。
畑の中の田舎道を車で走っていると、小高い丘の上にトーテムポールのような石像が見えてくる。


丘の上に上がるとたくさんの仏像が。しかし、どう見てもプロの仏師が作ったとは思えない。関節がカクカクしていて腕が垂直だったり、頭の形も絶壁だ。





これらの仏像を作ったのは高鍋に住んでいた故・岩岡保吉さん。米屋を営んでいた岩岡さんは29歳で四国巡礼に出発したのを機に仏像に興味を持ったそう。当時の高鍋では持田古墳群の古墳の盗掘が相次ぎ、それに心を痛めた岩岡さんは、古墳の霊を鎮めるために仏像を作り始めたという。1977年に87歳で逝去するまで、岩岡さんは自由な発想で700体以上の石像を制作した。十二めんやくしや十一めんくわんのんの胴体には「岩岡山七十五戈のサク」と刻まれている。像の高さは7〜8メートルほど。こんな巨大像を75歳のときに作っただなんて、いやぁ、おみそれいたしました!



仏像だけでなく、誰でも一度はテレビで見かけたことのある像も……。「みとこもん 人を たすけ まわる」の両端に「すけサん」と「かくサん」。水戸黄門だ! 86歳のときの作品ということは、亡くなる前年に作り上げたということだ。









巨大像のほか、高さ50センチほどの小さな像も多くたたずんでいる。



















一通り石像を見た後、境内にてお参り。奥には金ぴかに輝く祭壇が祭ってある。

高鍋大師についてリサーチしたところ、「たか鍋大師くん」なるゆるキャラが存在することが判明。それがこちら。

なんともかわいらしいお姿。缶バッジやぬいぐるみなど、たか鍋大師くんグッズも販売されている。「十一めんくわんのん」をモチーフにしているということだが、たか鍋大師くんを知った後に高鍋大師へ本物の「十一めんくわんのん」を見に行くと、そのギャップに驚くことだろう……。
気が抜けるようなへんちくりんな、でもどこか愛嬌(あいきょう)のある仏像の数々。宮崎県へ行く機会があったらぜひ高鍋大師まで足を伸ばし、味わい深い石像たちを実際に見ていただきたい。また、遠くて行けないという方には、「へたっぴんの美学」(ブレーンセンター)という高鍋大師の写真集も出版されているのでチェック!

姫野ケイ:フリーライター・コラムニスト・作家。1987年9月7日生まれ。宮崎県宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社のアルバイトにて編集業務を学びつつ、ヴィジュアル系バンドの追っかけに明け暮れるバンギャル。2010年度南日本文学大賞最終ファイナリスト。現在はWebやスポーツ新聞にてコラム・小説を執筆中。
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