人間のプロ棋士とコンピュータソフトが対戦した「将棋電王戦」。「人間 vs. コンピュータ」という構図で語られがちなこの戦いは、プロ棋士と将棋ソフト開発者という「人間 vs. 人間」の戦いでもあった。
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ソフト開発の傍らで大学院時代には就職活動も行い、大手IT企業に内定を得たが、「内定先の社長の書いた本を読んで読書感想文を書きましょう、っていう課題が出て。ちょっと自分には合わないかな、と(笑)」。結局その企業への就職は取りやめ、スマートフォンアプリなどを開発していたHEROZにインターンを経て入社する。入社後に携わったアプリ「将棋ウォーズ」は、既存の将棋アプリとは一線を画する派手な演出や、棋力の近い相手を自動で選んで対局させてくれる“ちょうどよさ”で、現在までに120万ダウンロードを超えるヒット作となった。



当初はまったく山本さんの相手にならなかったPonanzaも徐々に実力を高め、ついには山本さんを負かす“父親超え”を達成。初めて負けた日にはさすがに「感慨深い気持ちになった」。コンピュータ将棋選手権でも年々順位を上げていき、2012年の同選手権では決勝リーグ4位に入賞。翌年の第2回電王戦への出場権を手にした。
こうしてそれぞれに異なる道をたどりながらも、コンピュータ将棋開発の世界に足を踏み入れた2人。それまでは一部の人に知られるのみだった狭い世界は、人間のプロ棋士と戦う「将棋電王戦」によって、戦慄するほどの速度で拡張を見せ始める。
後編では、過去2回の電王戦を通して見えてきたもの、コンピュータ将棋の現在の立ち位置と課題、そして人間と共存していく今後の在り方について、引き続き一丸さんと山本さんへのインタビューを中心にお届けしていく。
→“敵”が“先生”になる日――コンピュータ将棋ソフト開発者 一丸貴則さん・山本一成さん(後編)