一般人が力士と向かい合うと、諦めのあまり笑いがこみ上げてきます。
いざ、取り組み
歓声に包まれながら西側へ会場入り。ニコニコ生放送が投影されている大スクリーンに、「細いwwww」と参加者たちの体格にユーザーのツッコミコメントが流れる。土俵を挟んで東側には5人の関取がずらり。左から、豪栄道(ごうえいどう)、隠岐の海(おきのうみ)、勢(いきおい)、大砂嵐(おおすなあらし)、遠藤(えんどう)。自分たちが戦うのは左の3人。おっきいなー、体積自分の倍くらいあるなー(震え声)。豪栄道さんがマイクで一言、「全力で叩き潰します」。隣にいた参加者・ポポラーレさん(33歳)が「終わったなぁ」と漏らした。
土俵に上がったら自然と笑いがこみ上げてきた。対峙(たいじ)した豪栄道さんは明らかにぼくとは違う生物だ。さっきまで控室ですれ違っていた力士さんたちと比べ異様に大きく見える。鋭い視線、横に広い体格、オーラがとにかく威圧してくる。絶対に勝てない強大な力を前にすると、人は笑うものなんだなと実感。

冒頭から再び、豪栄道さんと立ち合う筆者。確か同じ生物のはず
白線に手を付いて、突っ込んだ。ばちんと頬をぶつけた相手の胸板が思いの外やわらかい。ん? 踏み込んでも踏み込んでもびくともしない。2秒後、視界がぐるっと回ったあと、土に伏せている自分がいた。試合時間は10秒くらい。痛みに脇腹を抱えながら土俵の外へ……これが相撲。これがプロの力士。2戦目の隠岐の海さんにも、背後をとろうと走り回っているところをポーンと突っ張られてあえなく敗退した。



脇腹を痛めて敗走。あと5試合もこれが……
最後の勢さん。初めてまわしをがっちり両手でつかめたので手応えを感じる。1度振り回されたが、強く握りしめてなんとか残った。プロと相撲を取っている興奮に体が熱くなってくる。相手のまわしさえ離さなければ戦えるのでは……と握りしめていたら、さっきの3倍くらいの速さで身体を横にぶらされ、両足が浮き、腰から土に落とされた。痛い!!! 土俵で悶える。こ、これが下手投げ。痛いよ! 四股名の通り、勢いよかったよ……。
わんぱく力士5人でつかんだ勝利

打ち合わせてもないのにフォーメーションっぽくなった5人
かなわんので5人同時に挑む。1番手は豪栄道さん。さすがに5対1なら勝てるのでは? と各々自由に動いて突っ込んでいったが、最初に外へ押し出されたぼくが顔を上げたら、すでに仲間4人はみんな土に倒れていた。プロ力士、やばい。

うりゃー!

最後の1人を倒す豪栄道さん
そこでガンダムの「黒い三連星」の戦い方にならって、隠岐の海さんには5人1列並んで突っかかった。一番前に5人分の力を乗せる作戦。結果、前の3人が一気になぎ払われ、残った仲間が1人ずつ処理されていった。

隠岐の海さんに5人1列で向かった「黒い三連星」作戦

全滅でした
どうすれば勝てるんだ……卑怯でもなんでもいいから、最後の勢さんは5人で囲む作戦に。吉田健一さん(49歳)を襲っている力士の背中をすかさず、残りのみんなで一気に押していく。土へ転がる吉田さん……しかし勢関もそのまま土俵の外へ。まさかの勝利!!! 土俵で交わすハイタッチが清々しい! 勢さん、せこいマネしてほんとすみませんでした。

囲み始める5人。このあとなんとか勝利に!

祝福のコメントで盛り上げてくださったユーザーのみなさん。やりましたぞー!!!
「土俵で向き合って、どう取り組み始めていいか分からなかった」「ちゃんと正式なあいさつができなくて失礼だった」――まわしを脱ぎながら5人で感想戦。立ち合いの際の背筋をぴんと伸ばした「そんきょ」の姿勢、ぼくらにまわしを着けるときの見栄えに対する気の使いよう。「わんぱく土俵祭り」を終えて焼き付いたのは、賑やかな場においてもなおプロの力士が見せてくれた、礼儀の正しさだった。
「大人になってからもプロの力士と取り組めるなんてほんとにいい体験」とポポラーレさん。4人のわんぱく力士もうなずく。関取の偉大さに胸をときめかせつつ、汚れた足の裏や傷を見せ合った。

まっ黒!