先日@ironkumarさんがつぶやいた「甥(おい)っ子に『巻戻しって何?』と聞かれたからリモコン見せたら そんな言葉は無かった」というツイートが話題になっていました。
ビデオを見るとき「巻き戻して」と言うこの言葉。実はもう、今どきの子どもには通じないそうです。それもそのはず。リモコンをよく見てみると、「巻き戻し」ではなく「早戻し」という表記になっています。
私たちにはおなじみの「巻き戻しの世界」は、いつ消えてしまったのでしょうか。少し悲しくなったので調べてみました。
まず確認したのは、電子機器などのIT分野における業界団体「電子情報技術産業協会(JEITA)」。業界内で統一している規格があるかどうかを尋ねると、そういったものは出していないとのこと。それならばと、「シャープ」「ソニー」「東芝」「パナソニック」各社に直接聞いてみました。
各社の回答は次のとおり。
現在の表記と、「巻き戻し」から「早戻し」の表記に変更した時期
- シャープ:現在は「早戻し」に統一。表記を変更したのは、1997年のDVDプレーヤー以降。
- ソニー:現在は「早戻し」に統一。リモコン上にテキストで「早戻し」と表記されたのは、2003年に発売されたDVDレコーダー(RDR-A21)以降。それ以前のリモコンには文字による表記はなく、三角形の巻き戻しマークのみで表記していた。また取扱説明書ではもっと早くから「早戻し」表記が使われており、DVDプレーヤーでは1997年に発売された「DVP-S7000」から、HDDレコーダーでは2000年に発売されたSVR-715から「早戻し」表記を採用。
- 東芝:現在は「早戻し」または「三角のアイコン」に統一。「早戻し」表記は2001年ごろから発売されたDVDレコーダー以降。
- パナソニック:記録媒体がビデオテープからハードディスクに変わりはじめた2002年以降、「早送り・巻き戻し」ともに「サーチ/スロー(正逆どちらも)」という表記に変更。現在も「サーチ/スロー」表記を使用。
調査によれば、「巻き戻し」という表記がなくなったのは2000年前後。10年近く「巻き戻し」という表現の消滅に気付きませんでしたが、録画媒体がテープからDVDやハードディスクになった際に、記録媒体の動作に応じて表現が切り替えられたようです。
普段気にも留めないリモコンの表記。しかし、調べてみるとそこにはくっきりとした歴史がありました。

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