約1万年前に中東で家畜化が始まったと考えられているイエネコ──やがて愛玩動物として世界に伝搬し、さまざまな品種が作られたのはご存じの通りです。しかし、各品種の起源や移動の歴史は、さまざまなイエネコやヤマネコとの間で交雑が繰り返されてきたこともあって、詳しく分かっていません。
この謎を解く手がかりが、“ネコゲノムに刻み込まれたウイルスの痕跡”にある──そんな研究結果を、京都大学と東海大学の研究グループが発表しました。

研究グループは今回、ネコゲノム内の「内在性レトロウイルス」を調べました。内在性レトロウイルスとは、生物のゲノムに見られるウイルス由来の遺伝子配列です。外来性のレトロウイルスが宿主の生殖細胞に感染することで、ウイルスの遺伝子配列が宿主の子孫へと引き継がれます。「ウイルス化石」とも呼ばれ、ヒトゲノムの約8%は内在性レトロウイルス由来の配列といわれています。
研究グループによると、すべてのイエネコはC2染色体に共通の内在性レトロウイルスを保有しているとのこと。一方で、欧米の約半数の個体に見られるのにアジアの個体には約4%しか見られない内在性レトロウイルスも見つかったそうです。また、ヨーロピアンショートヘア、アメリカンショートヘア、アメリカンカールには、E3染色体に共通の内在性レトロウイルスがあることが分かりました。
ヨーロピアンショートヘアの元となったスカンジナビア半島の土着ネコは、イギリスに渡った後にメイフラワー号に乗ってアメリカに渡り、アメリカンショートヘアやアメリカンカールが作られたといわれています。3種に共通の内在性レトロウイルスが見つかったことは、こうした歴史と合致します。
このようにネコゲノムに複数潜んでいる内在性レトロウイルスを突き止め、比較していけば、集団間の系統関係を推測できると研究チームは考えています。さらに、品種ごとに異なるネコの性格や遺伝性疾患の理解にも役立つ可能性があるんだそうです。

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