亡くなった飼い主の帰りを待つため、東京都渋谷駅に10年もの間通い続けたというエピソードで有名な「忠犬ハチ公」。亡くなって80年、ついに飼い主・上野英三郎博士との再会が実現します。
飼い主・上野英三郎博士が現在の東京大学の教授であったことから、 農学部有志の呼びかけで同校内に「ハチ公と上野英三郎博士像」を設立。80年目の命日にあたる今年の3月8日に除幕式が行われます。銅像は、迎えに来たハチ公が上野博士に飛びつき喜んでいる様子を表現したものになっています。

画像は、植田努氏のアトリエにて撮影された粘土原型。東京大学大学院農学生命科学研究科に所蔵されています


銅像という形で、飼い主の上野博士に再会できたハチ公
「ハチ公と上野英三郎博士の像を東大に作る会」の会長、古谷研教授(東京大学 / 大学院・農学生命科学研究科)は、渋谷駅前など日本全国にハチ公の像はいくつかあるものの、上野博士に飛びついているハチ公像は他にないと思われ、「『人と動物の相互敬愛の象徴』になればと願います」と述べています。
上野博士は、日本の農業土木、農業工学などの創始者として知られている人物。研究のかたわら、日本各地で講演や技術指導を精力的に行い、農業土木技術者の育成にも携わりました。
大の犬好きで、1924年1月から生後2〜3カ月のハチ公を飼い始め、自分のベッドの下に寝かせるなど、細心の気遣いをして育てていました。同年5月頃から、1925年5月21日に大学で急死するまでの1年間、大学や渋谷駅まで連れて行くほどかわいがっていたそうです。上野博士の死後、ハチ公は毎日、1935年3月8日に死ぬまで10年間、朝夕に渋谷駅へ通い、いつまでたっても帰ってこない上野博士を待ち続けました。
また、除幕式に合わせて「東大ハチ公物語」という本が東大出版会から出版されます。「ハチ公と上野英三郎博士の像を東大に作る会」が2014年に開催した同名のシンポジウムが元になっています。

シンポジウムは「上野英三郎博士とハチ公」「『犬と暮らす』ということ −ハチ公をめぐる哲学断章− 」などのテーマで行われました
(マッハ・キショ松)
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