4月になると、新品のランドセルを背負った1年生たちの微笑ましい姿を目にします。
ランドセルといえば、少し前までは男の子は黒、女の子は赤が主流でしたが、最近では青、黄、緑などカラーバリエーションが多様化。趣向を凝らした装飾まで施されるように。
そういえば、ランドセルの形も色も校則で定められていたわけではないのに、ひと昔前のランドセルはなぜ黒と赤の2色しかなかったのでしょうか。それ以前にランドセルはどのように生まれ、浸透したのでしょう?
意外と知らないランドセルの歴史を紐解いてみました。

元祖ランドセルは軍事用カバンだった
ランドセルの誕生は、なんと江戸時代終期、幕末の時代までさかのぼります。当時の幕府が洋式の軍隊制度を導入するにあたり、オランダからもたらされた布製のバックパックを利用したのがランドセルの始まりといわれています。
「ランドセル」という名称はオランダ語の「ransel(ランセル)」がなまってできあがったものなのだそうです。
日本でランドセルが通学用カバンとなったのは明治時代に入ってからのこと。明治10(1877)年に開校した学習院は、同18(1855)年に馬車や人力車での登校を禁止し、徒歩通学を義務付けるようになりました。それと同時に、軍事用に使用されていた丈夫なランドセルを通学カバンとして使用することを定めたのです。
しかし、その頃のランドセルは、まだリュックサックに近い形態のものでした。現代の箱型ランドセルが誕生したのは、それから2年後の明治20(1887)年。大正天皇の学習院入学を祝し、当時の内閣総理大臣だった伊藤博文が特注で作らせ、その形が現代まで受け継がれているんですね。
黒と赤が選ばれたのは色ムラ隠しの策!?
では、男の子が黒、女の子が赤のランドセルを使用するようになったのはなぜでしょう。
当時、ランドセルには天然の牛皮革が使用されていました。これをムラなく染色することはとても難しく、比較的美しく仕上げることができるのが黒と赤だったといわれています。ただし、これには諸説あり、単純に男の子と女の子をひと目でわかりやすく見分けられるよう、色がはっきり見やすい黒と赤になったという説もあるようです。
デザインも使い勝手もいいランドセルに、海外セレブが注目
現在では、軽く高品質な人工皮革が登場したため、多彩なカラーバリエーションが可能になりました。 しかし、ランドセルといえば黒と赤というのがまるで決まり事のように浸透しており、多色展開をするメーカーは少なかったようです。
ところが2001年、大手小売りチェーン店が、プライベートブランドとして24色にわたるランドセルを発売。当初は、「奇抜な色のランドセルではいじめられるのでは」と考える親御さんが多かったようですが、皆さんもご存じのとおり、あっという間にカラフルなランドセルは世間に受け入れられました。最近では、その優れた機能性とキュートなフォルムに海外セレブたちも魅了され、日常で使用するバッグのひとつとして人気を集めているのだとか。
デザイン性もグッとアップしたランドセルを、ピカピカの1年生たちと一緒にあらためて見直してみるのもよいかもしれません。
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