弘前城(青森県弘前市)では、本丸石垣修理に伴い2015年の夏から秋にかけて天守を本丸内側へおよそ70メートル曳屋(ひきや)し、石垣の解体工事をする。修理工事全体は約10年を要し、天守が元の位置に戻るまでは5年かかる見込み。

1611年(慶長16年)に弘前藩2代藩主・津軽信枚(つがるのぶひら)によって築かれた弘前城は元は五層の天守が本丸西南隅にあったが、1627年(寛永4年)の落雷により焼失。9代藩主・津軽寧親(つがるやすちか)により1810年(文化7年)に現在の本丸東南隅に三層の天守を再建した。弘前城の天守は、全国12カ所の現存天守のうち、関東以北では唯一のもので国の重要文化財に指定されている。
石垣崩落の可能性があったため、1894年(明治27年)から2年ほどかけて天守を西側に移動。1915年になって現在の位置に戻されている。弘前城の本丸東面の石垣には、以前から膨らみが確認されており、天守台南面約10メートル、東面約100メートルの範囲で石垣修理を行うことになっている。現在は天守の下の内濠埋め立てが完了しており、今後は天守曳屋工事のための仮設基礎を設置する予定だ。


なお、4月23日から5月6日の「弘前さくらまつり」期間中、埋め立てられた内濠を一般開放するほか、今秋には天守を自ら引くことができる「天守曳屋体験」も実施される予定。さらに、弘前城天守が曳屋される映像を、タイムラプスやスマートフォン用アプリに活用する施策もある。


ちなみに、普段は弘前城の天守に住んでいるらしい弘前市のマスコットキャラクター「たか丸くん」は今回の曳屋を機に引っ越しが決まっており、通常かぶっている天守っぽい形の兜からヘルメットにお召し替え。石垣修理事業の手伝いをすることになっている。

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