会社を訪問したとき、お客様であるあなたにお茶が出されました。あなたはそのお茶を飲む? それとも飲まない?

こうした場合に、「出されたお茶を飲むのは失礼」とするビジネスマナーがネットで話題になっています。なぜ出されたお茶を飲んではいけないのか? 失礼だという人の意見をまとめると……
- 出されたお茶には手を付けないのがマナー
- 先方から「お茶をどうぞ」と促されたら「おそれながら」と手を付ける
- 「出されたお茶は飲んで当然」というのは「自分はお客さま」という意識の表れではないか
- 20〜30年前から当然のルール
といったことのようです。このビジネスマナー、筆者は初めて聞いたのですが、身の回りで尋ねてみると「多数派ではないが、聞いたことはある」という意見がちらほら。そこで、ビジネスマナーに詳しいプロに質問してみました。

飲んでOK、ただし相手に「どうぞ」と勧められてから
「もちろん飲んでかまいません。というか、出されたのなら飲んでください。出してくれた人に感謝して」と言うのは、グローバルナレッジネットワークで、新入社員にビジネスマナーも教えている田中淳子さん。「勧められたら飲みましょう。勧められないうちは飲まない。ですから、出した方も早めに『お茶をどうぞ』と勧めます。早めに勧めて、自分もちょっと飲むと、相手も飲みやすいですね」とも。
企業研修やセミナーなどで、ビジネス基礎講座の講師を務めるSix Stars Consultingの原田由美子さんも「他の講師にも確認しましたが、そんなビジネスマナーは聞いたことがありません」と言います。
「大切なのは、相手のご厚意に感謝の気持ちを示すことです」と原田さん。「お茶を運んでくださった方に『ありがとうございます』とお礼を言う。『どうぞ』と声をかけていただいてから『頂戴します』『いただきます』とお礼を伝えましょう。そのとき『温かいお茶で、気持ちが落ち着きます』『外が暑かったので冷たいものはありがたいです。ありがとうございます』など、相手へ配慮する言葉をかけるのもいいですね」
つまり「飲んでOK、でも口を付けるのは相手に勧めてもらってから」ということ。相手が「どうぞ」と勧めてくれなかった場合も、相手が手を付けてから「いただきます」と言って飲めば良いそうです。
出されたお茶を全部飲むのは失礼?
もう一つ気になったのが「どれくらい飲んでいいのか?」という点。全部飲んだほうが片付けやすい気もするし、でもちょっと残したほうが上品な気もするし……。
これについては、全部飲んでも、一口残してもかまわない、ただし「一口だけ飲んでほとんど残す」のは失礼、なのだそう。
「いただいたお茶は、一口飲んで残すのは失礼。私の場合は、1割ちょっと残る感じにしています。会話に夢中で手をつけていないときは、『せっかくなので』と席を立つ前にいただいています。女性の場合は、口紅が残らないように、拭きとること」(原田さん)、「飲むなら、できれば飲み干したほうがいいです。片付けも楽ですし。ちなみにペットボトルの場合は、『お持ち帰りください』と言われます。これは、持ち帰ってもらったほうが片付ける人も後が楽だから。遠慮なく持ち帰ってください」(田中さん)
大切なのは、相手への感謝の気持ち
田中さんも原田さんも強調していたのが、「相手への感謝の気持ちを示すことが大切」ということ。離席時には「ごちそうさまでした」「おいしかったです」などと伝えましょう。
出してもらったお茶は勧められてからおいしくいただき、相手への感謝の気持ちを示すこと。逆に招く立場のときは、お客さまにお茶を勧めるのを忘れずに……次回お茶を出されたときは、ぜひ実践してみてくださいね!(吉岡綾乃)
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