絵本やアニメに登場する食べ物は異様においしそうに見える。例えば子どものころにあこがれた、児童書「ぐりとぐら」に登場するカステラ。あのカステラっぽいお菓子をホットケーキミックスで簡単に作れるという方法がTwitterで話題になっていた。
通常ならお玉1杯分の生地でホットケーキを作るところを、全部フライパンに流し込んでひたすら弱火にかけるという、非常にシンプルな作り方だ。ノスタルジーに浸るべく、早速試してみた。
材料はホットケーキと同じ。ホットケーキミックス、牛乳、卵。
材料を全て混ぜ、フライパンに流し込む。
弱火でちょろちょろと火を通していると、表面にプツプツと気泡がわいてきた。普通のホットケーキならばここで生地をひっくり返すが、何せ量が多い。完全に火が通っていない部分があるとひっくり返す際に失敗してしまう。様子を見つつ火を通してみた。
Twitterで話題のレシピでは生地は焼きはじめてから15〜20分、ひっくり返して10分ほど焼くとなっている。筆者の場合、手間取ってしまいひっくり返すまでに25分ほどかかってしまった。生地はお手本よりも濃く色がついていた。
通常のホットケーキならフライ返しで簡単にひっくり返せるが、フライパンいっぱいに広がった大量の生地をひっくり返すのは困難を極める。そこで、一度お皿に滑らすようにして取り出し、お皿ごと一気にフライパンへ向けてひっくり返してみた。一部が少し欠けてしまったが、無事成功。
再び、弱火でじわじわと火を通していく。様子を見つつ、20分ほどで取り出してみた。もう少し厚みが欲しいところだが、通常のホットケーキよりは厚い、ぐりとぐら風カステラの完成である。もう少し小さなフライパンを使うと、もっと厚いカステラを再現できたようだ。
ぐりとぐらが森の仲間たちと分け合って食べたようにカット。
火を入れ過ぎてしまったかと心配したが、外はサクサク、中はしっとり。素朴な味で甘過ぎずおいしいが、ホットケーキよりも大味に感じた。生クリームやフルーツをトッピングしてもおいしそうだ(ぐりとぐらのカステラではなくなってしまうが……)。材料は同じなのに、ホットケーキとは微妙に味が違うのが不思議である。
幼いころに食べたいと強く願ったものは、大人になるとわりと簡単に手に入ってしまう。それがうれしくもあり、切なくもある。そんな感傷に浸りつつ、ぐりとぐら風カステラを味わったのだった。
※本格的にぐりとぐらのカステラを再現したい人は、福音館書店の「ぐりとぐら」Webサイトでレシピが公開されています。
(姫野ケイ)
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