武将駒を手に取ると“あの人たち”の演技が思い浮かぶぜ
2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」は、なかなか好評のようで、三谷幸喜好きとしては喜ばしい限りです(「新撰組!」も個人的には面白かったのですが、年配者の多い“ネオ大河ドラマフリーク”の評価は厳しかったです)。
その真田丸では、2月21日放送の回から本能寺の変を受けてぼっ発した旧武田領を巡る徳川氏と北条氏、そして、上杉氏三つどもえの戦い「武田遺領争奪戦争」に突入しました。“弱小”真田氏は一族の存続のために当主の草刈正雄、いや、真田昌幸の知謀で巨大三勢力と渡り合うことになります。
この“東国三大勢力を相手に独立を維持すべく策動する真田氏の危うい立場”を体感できるボードゲームがあります。それが、ウォーゲーム専門誌「ゲームジャーナル」51号(2014年6月1日号)の付録「徳川・北条・上杉 武田遺領争奪戦争」です。専門誌の付録ゲームですが、デザイナーがユーロゲームに造詣が深いこともあって、ルールは分かりやすく、ゲーム時間も2時間弱、慣れると1時間程度で終わります。

ユニークなのは、徳川、北条、上杉と3つの陣営が争った戦いなのに、2人用のゲームとしてデザインしていることです。それぞれのプレイヤーが率いる陣営はランダムで決まり、相手に隠しておくことができます。自分の陣営を隠せるということは相手の陣営が誰なのかも分からないというわけで、お互いの腹を探りながら戦を進めることになります(陣営を隠している状態において徳川、北条、上杉の兵はルールで定めた順番に従って“両方”のプレイヤーが動かします)。
戦いは、武田氏滅亡後に織田氏が奪った武田遺領をより多く占領した側が勝利します。武田遺領を占領している旧織田勢力を駆逐すると、「調略」「動員」「奇襲」などのイベントがランダムで発生しますが、真田氏はこのとき「真田と同盟」イベントを出した陣営として登場します。わずか3駒ながら武将「真田昌幸」をはじめとする真田勢は戦いの行方に影響を与えます。しかし、いったん同盟を結んでおいても「後から同盟した陣営に味方する」という真田昌幸のしたたかさを再現したルールのおかげで、プレイヤーは真田勢の使いどころに悩むことになります。

なお、ゲームジャーナル51号には同じデザイナーによる関ヶ原の戦いを取り上げたウォーゲーム「小早川・吉川・長曾我部・島津 それぞれの関ヶ原」も付録になっています。題名を見ても分かるように、プレイヤーは関ヶ原の戦いにおいて、寝返り/日和見武将の立場で自分の正体を隠したまま戦の推移を見極めつつ東軍、または、西軍のどちらにつくかを悩むという、これまた興味深い状況設定となっています。
ゲームジャーナル51号は2014年6月の発売ですが、書泉グランデやイエローサブマリンなどのゲーム関連雑誌コーナーに今も並んでいるほか、ゲームジャーナルWebページのオンラインショッピングでも購入(税別価格3600円)可能です。
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