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コナミが所有していた「プレーヤキャラクタの姿や視界の範囲をこのゲーム空間を区切る壁や床の存在にかかわらずモニタ上に表示する特許」が失効し、ゲームファンから「3Dゲームのカメラ挙動が劇的に改善されるかも」と期待する声があがっています。この特許は1996年5月15日に出願され、今年の5月15日に、ちょうど20年の有効期間を終えています。

特許の正式名称は「ビデオゲーム装置及びビデオゲームプログラムを格納したコンピュータ可読媒体」。文献の詳細は、特許情報プラットフォームの「特許・実用新案番号照会」にて、「H08-120607」で検索すると読むことができます
この設計はもともと3Dゲーム(特に三人称視点のもの)で、壁際でも快適にキャラクターを動かせるようにするためのものでした。3Dゲームではしばしば、キャラクターが壁を背にした場合、カメラとキャラクターの間に壁が割り込んでしまい、肝心のキャラクターが見えなくなってしまいます。これを防ぐため、キャラクターが壁で隠れてしまうような場合には、壁を半透明にすることでキャラクターを見えるようにしよう、というのがこの特許の内容でした。

特許情報プラットフォームで公開された、視点処理のフローチャート。06〜S07の部分で、背景の表示処理を行っています
これ自体は便利なアイデアだったのですが、コナミが特許を持っている以上、これまで他社はこの仕組みを自由に使うことができませんでした。特に、この制約が元でカメラワークに難点が生じたとうわさされているのが、カプコンの「モンスターハンター」シリーズ。同作のカメラワークの問題点は、モンスターハンター大辞典 Wikiにて、有志によりまとめられています。

「モンスターハンター大辞典 Wiki」の、カメラワークの項目。辞典のいち項目として数えられるほど問題視されていました
同シリーズでは壁際に追い詰められると、カメラアングルがハンターの側面や頭上から見たものに切り替わり、一瞬何が起こっているのか分からなくなるという問題を抱えていました。このため特許の事情を知るファンからは、「プレイヤーの背後からの視点を維持できないのはコナミの特許が原因では」とささやかれていました。
同作のカメラワークはシリーズを重ねるごとに改善がなされており、コナミの特許が視点の見づらさの原因のすべてとも言い切れません。とはいえ今回の失効により、コナミ以外のメーカーも、壁際でのカメラワークを分かりやすく処理できるようになりました。このことが直接、あらゆるゲームの改善につながるわけではありませんが、ゲーム開発の制約を緩和する出来事と言えるでしょう。
(沓澤真二)
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