敵から襲われると、体内のろっ骨が皮膚を突き破って飛び出して威嚇! スペインに生息するイモリの一種「スペインイモリ」(イベリアトゲイモリ)の敵から身を守る方法が衝撃的だとTwitterで注目を集めています。「サンタナでは」「君麻呂じゃん」と、骨を使ったこんな攻撃を漫画で見たことあると食いつく声も続出。

こちらがそのスペインイモリ。お目目くりくりでかわいいけど……(写真提供:天王寺動物園)

特殊能力がなかなかエグい……!(写真提供:天王寺動物園)
話題のきっかけとなったのは、天王寺動物園(大阪府大阪市)に展示されているスペインイモリの解説板。「敵におそわれると・・・ わき腹の皮膚をつきやぶって、回転させたろっ骨を飛び出させることにより、自分の身を守ります!!」とその特殊能力を軽快な書き味で説明しています。諸刃(もろは)の刃というには、イモリ側のダメージがはるかにでかそう……!
7月10日にTwitterユーザーがこの解説の写真をツイートしたところ、1万回以上リツイートされるなど大きく話題を呼ぶことに。また「ジョジョの奇妙な冒険」に登場するサンタナの技「リブス・ブレード(露骨な肋骨)」や、「NARUTO」で体内の骨を自在に操るキャラ・君麻呂など、ろっ骨を体外に出して攻撃するキャラを思い出す人も相次ぎました。フィクションだと思っていた技が実在したときの感動、わかる……!
天王寺動物園・動物園担当の獣医師である佐野さんに、スペインイモリの能力について詳しく聞きました。ろっ骨はヤマアラシがトゲを突き立ているのと似ていて、お腹側に向いているろっ骨を回転させて背中側へと皮膚から突き出し、その尖った先端で威嚇するのだそうです。
皮膚の傷が心配ですが、イモリはもともと体の再生能力が高い生き物。突き破る際に多少ダメージはあるものの、空いた穴は化膿(かのう)する前にすぐに塞がってしまうため、生命に危険はありません。諸刃の刃かと思いきや、再生能力を前提としている理にかなった攻撃法のよう……ますますサンタナっぽい!
ちなみにこちらの能力、人間が力強くギュッと握るなど、本当に生命の危機を感じたときでないと実行しないのでめったに見られないとのこと。同園ではスペインイモリを2014年末から展示していますが、飼育上そんな危険な真似をするわけもないので、佐野さんも実際に見たことはないそう。引き続き、スペインイモリたちには秘技を使うことなく平和に暮らして欲しいものです。
天王寺動物園では現在5匹ほど飼育しており、来園すれば常に2、3匹は観察できるとのこと。ペットショップでも「イベリアトゲイモリ」という名称で取り扱われています。黒いお目目がくりくりしたかわらしい容貌や仕草を観察しながら、なかなかエグい防衛能力を持っているんだなと、ギャップに思いを馳せるのも一興。
(黒木貴啓)
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