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たまに見かけるネット用語を、勝手に知ったかぶりで解説する「ねっと用語知ったかぶり」。今回は将棋を指さずに楽しむ観る将棋ファン、略して「観る将」をご紹介します。ここ数年急増している「観る将」、実はネットの影響が非常に大きいんです。

【観る将(観る将棋ファン)】
「観る将」とは自分では将棋を指さない(指せない)けれど、テレビやネットの将棋中継を観て楽しむファンのこと。「将棋の内容が理解できないのに観ていて楽しいの?」と思うかもしれませんが、実は将棋中継には対局の勝敗以外にもさまざまな見どころがあります。
代表的なのは棋士たちが対局の合間に食べる食事やおやつ。棋士が何を食べたか、というのは観る将にとって妙に気になる要素のようで、ニコニコ生放送では棋士や解説者の昼食を予想する「昼食アンケート」が恒例になっていたりします。健啖家として知られる「ひふみん」こと加藤一二三九段が夕食に「カキフライ定食」と「チキンカツ定食」を同時に注文したときなどは、ネット上の観る将たちを大いに盛り上げました。
棋士たちが自らTwitterなどで情報発信しているのも「観る将」にとってうれしい点
当日の対局相手だった三枚堂四段もツイート
こうした将棋を「観る」文化が活発になったのは、ニコニコ生放送で将棋中継がさかんに行われるようになったことがきっかけ。特に将棋ソフトとプロ棋士が戦う「将棋電王戦」は、それまで将棋に興味がなかった人たちからも大きな注目を集めました。

数々のドラマを生んでいるニコ生の「将棋電王戦」
ニコ生の映像によって多くの人が動く棋士の姿を目にできるようになったのもポイント。羽生善治三冠が時折「寝ぐせ」をつけて対局に現れることなどはメディアでもたびたび話題にされていましたが、他にも対局中に「冷えピタで頭を冷やす」「孫の手で背中をかく」「『負けました』と言う前にリップクリームを塗る」などといった棋士たちのユニークな行動が話題になるようになりました。また、若手のイケメン棋士に多くの女性ファンが生まれたり、マシンガンのようにダジャレを連発する豊川孝弘七段の「オヤジギャグ解説」が人気になるなど、棋士一人一人のキャラクターに注目が集まるようになります。

あの羽生さんを倒して新名人となった佐藤天彦名人は、「リップ投了」などの所作や独特のファッションへのこだわりから「貴族」という愛称も(日本将棋連盟公式サイトより)
こうした露出の増加がファン層の拡大につながり、将棋の楽しみ方も多様化していきました。「観る将」以外にも、棋士や将棋イベントの写真を撮る「撮る将」、将棋関連の本や記事を読み漁る「読む将」といった人たちも出てきています。まるで鉄道ファンみたいですね。
もちろん最大の魅力は棋士たちによる、「脳みそに汗をかく」ような真剣勝負。ネット中継ではプロ棋士たちが初心者にも分かるように丁寧な解説をしてくれるので、将棋に難しそうというイメージを持っていた人が突然「観る将」になるというケースも少なくないようです。
【使い方例】
例1:将棋中継でおやつの時間になると観る将たちのコメントが急増する
例2:「俺は観る将だから別にお前に将棋で負けても悔しくないし……」
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