豚ホルモンを素揚げしたおつまみ商品「やみつきホルモン」が、ネットユーザーの間で「人類文明が滅んだ後に食べる高級食みたいな味」としてじわじわ人気を集めている。なにそのSF作品みたいな表現、むしろ口にしたくなるよ。

こちらがその「やみつきホルモン」
「やみつきホルモン」は9月26日にアサヒグループ食品から発売。豚ガツ・豚ハツを独自の旨塩ダレに漬け込んだ後、手作業でじっくりフライして旨味を肉の中に閉じ込めたおつまみで、かめばかむほど旨味が広がっていくのを特長としている。パッケージに描かれたかわいい豚のイラストが「噛んだらやめられない」とつぶやいているのがシュール。
説明だけだとビーフジャーキーの豚の臓物版といった感じだが、発売からちょっと遅れた10月後半あたりから、変わった口コミがTwitterを中心に広がっている。どんなものかというと、
- なにこれ、数度の国家間核戦争でなにもかもが破壊されて文明が滅んで人類が滅亡しかけてる世界で謎の動物の内臓を乾燥させて作ったその世界では高級品とされる食べ物の味がする
- デストピアな世界で闇市でうられてそうな乾燥肉って感じで、食べてたら興奮してきた
- 確かに「人類文明が滅んだあと過去の遺物から合成された肉を口に入れて『ああ、そういえばこんな味だった』と旧き良き時代を涙を流しながら懐かしむ」味がする
- なるほど確かに「荒廃した世界で新鮮な生肉は上流階級の人間にしか与えられず、代わりに下市民が与えられる乾燥した合成肉の味」がする
などなど。よくSF作品で、人類文明が滅んだ後に生き残った人々が昔の食べ物を懐かしんでその味に近い何かを食べる、というシーンを見かける。そのお肉版があるのならこの「やみつきホルモン」みたいな味だろうといった感想が、まだ食べていない人の好奇心を煽り、口にした人からは共感を集めているのだ。

というわけで購入
ぼくもまんまと好奇心をつかまれたので買ってみた。袋から取り出すと、なるほど。ビーフジャーキーの赤々とした色味と違って、豚の臓物が干からびたような褐色が「肉に近い何か」感を醸し出している。肉が1つ1つコマ切れでコロコロしているのも同じく。ディストピアの雰囲気にわくわく。

皿に出してみた。写っているのは2袋分
食したところ、宇宙食みたいにあらゆる状況下でも食べられるようにした豚ホルモンという感じ。ガツは、モキュモキュかんでいくうちに油と旨味が口の中に広がり、唾液がどんどんでてくる。ハツは、繊維がパサパサと舌の上で転がって肉々しい。旨塩ダレの味も強く、「ビールほしい」「飲めないけどおやつとしていける」と編集部でもおおむね好評だった。

左の黒いのが豚ハツ、右の褐色の方が豚ガツ
例の表現については「確かに世界が荒廃した後、あの懐かしい動物性タンパク質を欲するときに食べたくなるかも」「わかる」とうなずきが。一口目の硬い食感やビジュアルが「肉じゃない感」を放つものの、しばらくかんだあとの旨味や食感は肉らしさがある。この絶妙なバランスをネットユーザーがおもしろおかしく表現したのが「世界が滅んだ後の高級食品みたいな味」だったのだろう。ディストピアを仮想体験できるおつまみと考えながら食べるのは確かに楽しい。
アサヒグループ食品に取材したところ、商品の売れ行きは「9月の発売以降、大きな反響を頂戴しています。11月上旬時点で当初の2016年内見込み売上数量を超えており、当社の予想を大きく上回る結果となっております」と好評のもよう。
ネットにおける独特な口コミについては初耳だったらしく、「私が世界が滅んだ後に食事をした経験が無いので何とも言えませんが、お客様が当商品を楽しんでいただいている結果としての味の表現の一つであるのかなと、ポジティブにとらえております」と肯定的だった。
「やみつきホルモン」は全国コンビニエンスストア向けに展開しているそう。見つけたら口コミに納得できるかどうかモキュモキュ試してみよう。世界が荒廃したときは、どうぞアサヒグループ食品さんよろしくお願いします(違う)。
(黒木貴啓)
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