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将棋棋士の三浦弘行九段が対局中にスマートフォンを不正使用したと疑いの声があがっていた問題(関連記事)で、第三者調査委員会が「不正行為に及んでいたと認めるに足る証拠はない」と判断したことを発表しました。

但木敬一委員長による記者会見(ニコニコ生放送「日本将棋連盟第三者調査委員会記者会見」より)
疑惑の発端となったのは、三浦九段に対して複数の棋士から「対局中に不自然な離席が多い」「将棋ソフトと指し手の一致率が高い」といった指摘があったこと。三浦九段はこれを否定し、日本将棋連盟に対して「疑念を持たれたままでは対局できない」などと話したことから、既に挑戦が決定していた第29期竜王戦七番勝負を含む、2016年内の出場停止処分が決まっていました。

A級順位戦の三浦九段(2013年撮影)
しかし、三浦九段が提出したスマホなどの機器を調査したところ、疑わしいソフトウェアの起動・通信記録の痕跡は確認できなかったとのこと。不正の根拠とされた「ソフトとの指し手一致率」についても複数の事例を分析したところ、三浦九段よりも他の棋士の一致率が高くなるケースもあり、「不正認定の根拠とすることはできない」と判断しました。

専門性の高い内容のため羽生善治三冠や佐藤天彦名人らにもヒアリングを行ったが、多くの棋士が「自力で指した手として不自然ではない」との見解を示したとのこと(ニコニコ生放送「日本将棋連盟第三者調査委員会記者会見」より)
一方、将棋連盟の判断に対しても竜王戦開幕直前という緊急性の高さや、所属棋士全員を守る組織として大きな混乱を防ぐ必要性から「当時の判断としてはやむをえなかった」と判断。結果論ではなく当時の状況から三浦九段を出場停止処分にしたことについての妥当性は認められるものとしています。
全体の利益を守るために三浦九段が不利益を被る形となったことについて、但木敬一委員長は「(将棋連盟が)償う形でバランスをとり、公平な状態に戻すことが考えられる」とコメント。また、将棋ソフトの実力が高まっている中で、疑心暗鬼を生じさせない合理的なシステムや不正行為に対する処分などを整備するべきと提言しています。
(たろちん)
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