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厚生労働省が長時間労働の疑いがある事業場に実施した、労働基準監督署による監督指導の結果を公表。約1万の対象のうち違法な時間外労働が確認された事業場が、約44%となる4416件にも上ることが判明した。

対象事業場の内訳や違反件数等のデータ(厚労省の資料より)
監督指導は2016年4月から9月まで行われたもの。対象となった事業所は、80時間を超える残業が行われた疑いのあるものや、長時間労働による過労死などに関する労災請求があった1万59件。このうち66.2%に相当する6659件で、労働基準法などの法令違反がみられた。
主な違反内容は違法な時間外労働。これに該当し是正・改善に向けた指導が行われたのは、4416件と全体の43.9%。このうち78.1%となる3450件に、実際に月80時間を超える残業が認められた。100時間を超えたケースは2419件、200時間超えも116件。賃金不払残業のあったケースも、637件確認されている。
過重労働による健康障害防止措置が未実施の事業場も、1043件が確認された。実施済みでも不十分とされた事業場も8683件と多く、改善が指導された。また、労働時間の管理方法が不適正とされた事業所も1189件に上り、同省の定めた基準に適合するよう指導が行われている。

健康障害防止のための指導状況(厚労省の資料より)

労働時間の管理方法に関する指導状況(厚労省の資料より)
同省は具体的な監督指導事例も公開。ある情報処理サービス業では、脳・心臓疾患を発症した労働者に、発症前の直近6カ月平均で月92時間の時間外労働が課されていたという。ほかにも、労働者の時間外労働を上限時間内に抑えるためタイムカードを不正打刻していた製造業や、ドライバーに最長で月160時間以上もの時間外労働を行わせていた引越業といった事例が明らかになっている。
2015年時の結果と比較してみると、長時間労働の状況に大きな変化はみられない。厚労省は今後も監督指導の徹底をはじめに、是正に向けた取り組みを積極的に行うとしている。

2015年時と2016年時の比較。前者は月100時間を超える残業が疑われる事業場が対象となっているため、直接の比較はできない。ただ、月80時間超の時間外労働が確認された事業場の割合に、大きな変化はみられない(厚労省の資料より)
(沓澤真二)
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