カスペルスキーがSNS利用者へのアンケート結果をまとめ、「ソーシャルメディアが人々に及ぼす影響」と題して公開しました。ユーザーの過半数が楽しむために利用している一方で、「他人のほうが楽しそうに見える」といった回答も多く、SNSの功罪を示しています。

調査は世界18カ国の16歳以上の男女1万6750人を対象(日本の対象者は1000人)に、2016年10〜11月に実施されたもの。投稿内容を問うた質問では「自分が楽しいと感じたこと」が61%、「趣味」が54%、「イベントやパーティー/お出かけなど」が46%と回答の上位を占め、多くの人が前向きな理由でSNSを利用していることが判明しています。
その一方で、「あなたが嫌な気分になった理由は?」と利用上の不満を問う質問も。最多回答は「迷惑な広告」(72%)ですが、次点の「誰かから『友達削除』をされた」(61%)以下、SNS上のコミュニケーションに関する回答が多数みられます。「自分の誘われていない催しに友だちが行っているのを見た」(59%)「他人が自分より良い人生を送っていることを知った」(57%)など、他人をうらやむような回答も。大多数が楽しいことを発信した結果、それを見て劣等感を持つ人が生まれる可能性を示しています。

自分の投稿に対する「いいね!」の数が気にならないと答えた数は、全体の31%と、大半は他者からの反応を気にしているようです。特に男性はその傾向が強く、24%が「『いいね!』の数が少ないと『自分は人気がない』と友だちから思われる」ことを心配(女性は17%)。「自分にとって大切な人が『いいね!』をくれないと腹立たしく感じる」「自分の友だちが他人の投稿に『いいね!』をつけていると嫉妬する」とする人も、20%以上確認されています。
一定数のユーザーが「いいね!」に執着していることを示すデータも。「確実に『いいね!』がたくさん得られるのであれば、以下のことをしてみようと思いますか?」との質問に対し、男性の12〜32%、女性の5〜21%が「友だちや同僚の面白い情報や秘密を公表する」と認めました。「普段は口にしないような意見を強く主張する」「酒に酔った人の様子を投稿する」といった、危険を冒すような項目に「はい」と答えた人も少なくありません。


SNS上のコミュニケーションが、現実の対人関係に良い影響をもたらすとする、ポジティブな調査結果も。SNSでつながって以来、相手と現実でこまめにコミュニケーションをとるようになったとする回答は、家族や友だち、同僚などいずれの相手でも68〜80%と高い数値を示しました。この傾向は親子関係に顕著で、55%の回答者が、SNSでつながって以来関係が良くなったと答えています。

ただし21%の親が、「SNSで子どもに気まずい投稿を見られたことがある」とのこと。カスペルスキーは調査結果から、SNSを「実社会の対人関係に波及効果をもたらす」と評価しつつも、「諸刃の剣」と総括しています。

(沓澤真二)
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