「日本飛行機の父」と称される二宮忠八が19世紀に開発した模型飛行機を、人力飛行機に再設計して飛ばそうと愛媛大学が計画しています。現在クラウドファンディングサイト「Ready for」で寄付を募集中。これをもとに製作した機体で、低翼型人力飛行機の日本記録を超える2キロのフライトに挑戦します。

二宮忠八は愛媛県出身の航空機研究者。1891年に、日本で初めてゴム動力の模型飛行機「カラス型飛行器」を飛ばすことに成功しています。その後人間を乗せて飛べる複葉機「玉虫型飛行器」を開発しますが、完成前にライト兄弟の有人飛行実験成功を知り、研究を断念しました。

愛媛大学航空力学研究会(通称:二宮翔会)は、二宮が開発した2機の設計図の情報を入手し、その遺志を継いで人力飛行機化を立案。玉虫型は構造が複雑で重くなるため不向きと判断し、構造が簡単なカラス型を再設計した「平成カラス1号」で挑戦を始めました。
以降、機体のマイナーチェンジを繰り返し、2010年には自己最高の飛行距離769.7メートルを記録。その後動力の搭載が提案され、2013年にはバッテリー搭載の10号、2014年には燃料電池を搭載した11号の飛行実験に及んでいます。

2010年以降記録が頭打ちになっていたことから、同研究会は設計に大幅な改革が必要と判断。新素材や再生可能エネルギーなどの最新技術を導入した「平成カラス12号」の開発に着手しました。目標は低翼型人力飛行機の日本記録、飛行距離1.6キロの突破。成功すれば、低翼機の可能性を広げることになるとしています。

今回のクラウドファンディングは、機体製作費の245万円を調達することが目的。寄付は5000円から受け付けており、3万円でパイロット体験付き見学会へ招待。また、5万円で飛行実験時のノボリに、10万円で機体に、30万円で尾翼に、寄付者の名前が入れられます。
(沓澤真二)
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