新種とみられる、タンポポのような形の海藻が小笠原諸島の海で発見されました。その独特な姿は、調査を主導する国立科学博物館のコラム(2月23日分)で紹介されています。この「ウミタンポポ」と名付けられた海藻について、同館へ取材し詳細を聞きました。


ウミタンポポ
ウミタンポポ。全長は3センチ程度(画像提供:国立科学博物館 植物研究部 菌類・藻類研究グループ 北山太樹 研究主幹)

 同館はここ数年定期的に、小笠原諸島近海で海底の生物を調査しています。2016年7月には、東京都島しょ農林水産総合センターの小笠原水産センターから協力を得て調査を実施。同センター所有の調査船「興洋」でドレッジ(底びき)採集を弟島沖にて行ったところ、深さ56〜63メートルの海底から形が独特な海藻が数個体発見されたそうです。

 その外部形態から、褐藻類(コンブやワカメの仲間)に属するケヤリモ目ケヤリモ科の海藻とまでは容易に判明。しかし枝分かれすることなく成熟する特性があり、そのような藻体は日本の海では報告されていませんでした。そこで、共同研究者である神戸大学の羽生田岳昭博士に遺伝子解析を依頼。その結果、既知のケヤリモ目海藻のいずれとも一致しなかったため、新種と判断されました。

 ウミタンポポは、3月24日に高知大学で行われる、日本藻類学会第41回大会にて、正式に新種として発表される予定です。


国立科学博物館

国立科学博物館



(沓澤真二)