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108種類をベースに日本全国からの厳選されたレトルトカレーを集めた店が東京の台東区蔵前にオープンした。この店、名前は「カレー大使館」といい、カレーの王国からやってきた大使が開いているそうだ。カレーの王国って一体何だろう……? 実際に足を運んでみた。

カレー大使館/東京都台東区浅草橋3-20-11 2階


2階までの階段の壁にはレトルトカレーのパッケージが多数
交差点角にあるビル2階のガラス一面に貼られた「カレー大使館」の文字がよく目立っている。入り口はビルの角にあり、階段を上ると店内に通じるであろう銀色のドアがあった。そこにペタペタと、レトルトカレーのパッケージが装飾され、ちょっと華やかに仕上がっている。手作り感がたまらないこのドアの向こうはどんな様子なのか、ちょっぴりワクワクと期待してドアを開けた。

レトロで懐かしい感じのする装飾に親しみが湧くドア
すると、ジャジャーンと言わんばかりに敷かれたレッドカーペットが向こうまで続く。思いのほか厳かな雰囲気に緊張してしまったが、壁にズラリと並ぶレトルトカレーにすぐに心を奪われる。

スターになった気分に浸れるレッドカーペットを歩いて中まで入る
壁一面がレトルトカレーで埋め尽くされている。まるでカレーライブラリーだ。パッケージを一つひとつ手に取って、じっくりと読みたい気分になる。


上から下までレトルトカレーだらけ
「メジャーカレーコーナー」と「ご当地カレーコーナー」。それぞれの言葉の下には説明書きがあった。「メジャーカレー」とは、スーパーやコンビニなどで取り扱われているお馴染みの大手企業商品。「ご当地カレー」とは、地域の特産品や特有の食材を加えた限定カレーのことだ。

商品数はメジャーが約3割、ご当地が約7割だそう
では、それぞれのコーナーにはどんカレーがあるのか? ちょっと見てみよう。まずはメジャーから。確かに見たことや食べたことがあるカレーが並ぶ。かと思えば、こんなカレーあったんだ、という発見もあって面白い。


実際にここに置いてあるカレーの企業さんがいらしたこともあるそうだ
次はご当地。こっちは、どのカレーを見ても知らないものばかり。だからこそ、興味惹かれるカレーも多い。

富山県の氷見牛カレー。おいしそう!

トロピカルって、どんな味なんだ?と思うポークカレー

和歌山特産品のみかんが使用されたカレーは、本当にみかんの味がするらしい
カレーの色とりどりのパッケージに魅了され、壁の前でかなりの時を過ごしてしまった。ちなみにこの「カレー大使館」、飲食スペースもある。飲食スペースには晩餐会のようなテーブルとイスが用意されている。

50人くらい着席できるだろうか、広々とした飲食スペース
店内には、異国の鎧や頭像がある。「大使館」だからなのだろうか? 少しいにしえの匂いがする店内だ。


中世日本に輸出された甲冑(左)と「テヅー代王 頭部」(右)
店内をぐるりと見渡すと、ソファ席を発見。しかしここは、ちょっと雰囲気が違う。なんだかスペシャルな席のようなので座ってみたくなり、ドカッと腰かけた。

ソファ後ろの壁には、さっき見た頭部を被った「テヅー代王」の写真が飾られている
スペシャルな席からの眺めは最高だった。先ほど見入ったカレーたちが、壁のデコレーションのように見える。

スペシャルな席からの眺め
ふと机に目を落とすと、極秘(TOP SECRET)の内国調査報告書が無造作に置かれている。これって、重要な文書なんじゃない? だとしたら、ここは座っちゃいけない席だったか? そんな心配がよぎった。すると、男性が声をかけてきた。

カレー王国について書かれた極秘の文書
この男性は「カレー王国大使館 役員」の森戸さん。森戸さんはこの店について、いろいろと教えてくれた。このスペース席は「大使館執務席」といい、誰が座ってもOK。もちろん記念撮影も可能だ。そして、極秘文書も誰でも閲覧できるのだという。カレー王国について、この店のアレコレについて、が記載されているそうだ。

カレー王国 大使館 役員の森戸さん

役員が選ぶ、メジャーカレーとご当地カレーのそれぞれのイチオシカレー
そろそろレトルトカレーを食してみることにした。オーダーの仕方は、セルフサービス方式。まず好きなカレーを棚からとってレジへ。料金を支払い、席で待つ。厨房から呼ばれたら、取りに行く。水や食べ放題の福神漬け、ライスのお代わりもセルフだ。料金は、メジャーカレー890円、ご当地カレーはカレー代金+490円。

分かりやすい料金表示
何しろレトルトカレーは108つもある。どれにしようかとかなり悩んだが、ご当地カレーの「野菜としいたけの匠カレー」を食べることにした。

カレーを食べたスタッフの感想が書かれたポップも選ぶときの参考に
できあがるまで、役員としばし歓談。こちらに並べられるご当地カレーは、味がよくて、生産者などの想いが詰まったものだけを厳選している。一つの商品で“ストーリー”ができてしまうほど、奥の深いカレーがたくさんあるそうだ。価格はさまざまだが、500〜600円台のものが多い。しかし、なかには2000円くらいするものもあるという。メジャーカレーはよく見かけるものが多いが、今のレトルトカレーがあるのは企業さんの努力のおかげということで、王道のレトルトカレーをここに置かない選択肢はないそうだ。そんなことを聞いているうちに、カレーが完成。


カレーの中にどデカイしいたけが身を隠していた!
カレーの味を楽しむのはもちろんだが、パッケージを読んだり、写真と同じものが入っているかを確認したりなど、レトルトカレーは楽しみ方が豊富だ。しかし、エンジョイする方法はこれだけではない。ここではカレーをあえて紙カップで提供している。これは一緒に来た人とカレーをシェアしやすいようにという計らいからだ。つまり、いろんな味を楽しんでほしいというカレー大使館の考えからなのだ。
さらに、メジャーもご当地にも、ここのオリジナルカレー「大使館カレー」がついてくる。具にこだわりのあるカレーが多いので、あえて具なしの野菜の甘みが強いカレーになっている。これだけをお代わりできる「かけル〜」(税別280円)というメニューも用意されるほど人気だとか。しかし、これもカレーを楽しむ方法のひとつとしての提供なのだ。

小さいカップに入っているのが大使館カレー
そして、陶器の器を使用できる「公賓対応」や、1日3組限定の最上級サービスが受けられる「国賓待遇」といったプランも用意されている。どちらもプラス料金が必要だが、VIP感を味わうことができ、違った視点でレトルトカレーを楽しめそうだ。

カレーが盛られる皿も飾られている
カレーを楽しむさまざまな仕掛けのある「カレー大使館」。役員は「レトルトカレーは製造工程に手間ひまがかかります。でも、おいしいものを作りたいという生産者や農家の想いがあって、このようなレトルトカレーが作られているんです。そんな魅力いっぱいのカレーをたくさんの人に知ってもらいたい! それには、いろいろ食べ比べて楽しんでもらいたいのです。そのために、私たち大使館職員がいますので」と話す。確かに、レトルトカレーをここまで楽しめたのは始めてだ。クセになってしまうリピーターが多いというのも頷ける。
オープンしてまだ日が浅いここは、客にいかに満足してもらえるかサービスの充実には余念がない。今後どんなカレーに出会えるのか、またどんな楽しみ方ができるのかなど、これからも大使館の活動に注目したい。
(茂木宏美/LOCOMO&COMO)
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