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6月4日、レッドブル・エアレース千葉2017の決勝レースが千葉県・海浜幕張公園で行われ、唯一の日本人パイロット室屋義秀選手が優勝しました。昨年の千葉大会では初優勝を飾っており、V2達成となります。

最高時速370キロ、最大重力加速度10Gの中、世界最高の飛行技術を競うレッドブル・エアレースは“空のF1”とも称される競技。全長4キロのコースに配置された高さ25メートルのエアゲート(障害物)の間を飛行するタイムアタックです。





6月3日に行われた予選では14人中4位での通過と上々のフライトを見せた室屋選手。前戦のサンディエゴ大会では優勝を果たし、本大会前の年間総合ランキングは3位。会場では室屋選手を応援する声が多く聞かれ、優勝への期待も高まっていました。








千葉のレーストラックは2個のハイGターン(重力が強くかかるターン)と、細長いレイアウトが特徴のスプリントサーキット。スピードが出やすく、千葉の魔物“幕張ターン”と恐れられてきたコースは今年からレイアウトが変更されており、バーチカルターンでは、真っすぐエアゲート(空気で膨らませたパイロン)を通過するか、セットアップターンをしてから通過するという方法を選ばなくてはなりません。
真っすぐの場合は、通過時にエアゲートが機体とすれすれになるというリスクがあり、万が一接触した場合や規定角度を保てないと減点されますが時短は可能。セットアップターンの場合は、エアゲートとの接触リスクは下げられるものの、タイムの短縮が難しくなるという究極の選択です。



室屋選手はミントグリーンを基調にした愛機・Edge 540 V3でさっそうと登場。両手で操縦かんを握るおなじみの“サムライスタイル”で、巧みに機体を操ります。その後風の影響などもあり、多くの選手が減点や失格を受ける中、室屋選手は冷静な飛行で地道に培ってきたテクニックを見せつけ、千葉大会2連覇という偉業を成し遂げました。










試合後、会見に臨んだ室屋選手は「チーム、家族、スポンサー、オーガナイザーに感謝している」とコメント。9万人のファンが声援を贈ってくれたことに対しては「プレッシャーではあったが、(前向きな)声援だと捉えることができた」と笑顔を見せました。



特に僅差で競り勝ったペトル・コプシュタイン選手とのラウンド・オブ・14では、会場で配られていた室屋選手を応援するための旗が見えていたと話し、「0.007秒の差、旗のおかげで約60センチ前に出られたのかもしれない」と語りました。





また今大会での室屋選手の活躍が、SNS上でも話題になっていると編集部が伝えたところ「実はアナログなので、あまりネットのことは分からない」と苦笑い。ネットも含めて「ファンの声が大きいのは感じたし、この3年でどれぐらいファンが育ってくれたのかということを感じました」と答えてくれました。

今大会でのポイントが加算され、6月4日現在で年間総合ランキングで首位に躍り出た室屋選手。今後の活躍に期待です。
(文・Kikka/撮影・Ryo Tajima)
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