ある5歳児が自分でつくった作品を自分で値付けして販売するECサイト「5歳児が値段を決める美術館」がオープンしました。9億7万8000円の「ティラノサウルス」の絵、1億円の気象衛星「ひまわり」の工作物など、はちゃめちゃな価格設定の作品がずらり。眺めるだけでも自由な発想に刺激をもらえるアーティスティックなサイトとなっています。

ECサイト「5歳児が値段を決める美術館」

とんでもない価格がずらり
サイトを手掛けたのは、「レシートレター」「小鼓パンツ」など変わったアイデアを数々と形にしてきたブルーパドルの代表・佐藤ねじさん。佐藤さんは毎年自分の子どもが歳をとるたび何か作品を制作する個人プロジェクト「息子シリーズ」を継続中で、5歳になった2017年は、息子が4歳から作ってきた作品の一部を、自身に「作品名・コメント・値段」を全て決めてもらって販売することにしました。
売られているのは工作物やイラストが中心。恐竜や昆虫、人工衛星、空想の生き物などが幼児らしい世界観で再現されているのですが、「アルゼンチノサウルス」の折り紙は「百億円」、「ヘラクレスオオカブト」の絵は「1億数千万円」と、わんぱくな高価格が並んでいます。オリジナル恐竜「クロワンフィシス」の工作物は「無限大数円」。市場価格とか知ったこっちゃない、という無邪気な自信が5歳児ならではです。

現実的な価格もあるのがじわる
かと思いきや、「ゾウ」の折り紙は「300円」、「ごみばこ」の工作物は「1870円」と、現実的な値段の作品もぽつぽつあるのがじわりときます。価格は子どもが言ったものをそのまま付けているため、「19千億円」「百千円」など個性的な単位が誕生しているのも一興。どんな作品がいくらなのか、ウィンドウショッピングが止まらない。
ECサイト作成サービス「BASE」を基盤にしているため、閲覧者が「1億円までなら実際に購入できる」のも大きな特長となっています。値段がめちゃくちゃな作品は購入できなくなっているので、ほしかった人は仕方なく諦めましょう。なお、152円の「アロサウルス」の折り紙といった低価格の作品だけでなく、4000円の「ナマズ」の工作物も購入済みとなっていました。少年、あんたすごいよ。

惑星探査機はやぶさの工作物がかっこよかったのだけど、8億円だった。というか、「なくした/こわれた」で買えなくなっていた。無念
佐藤さんはサイトのコンセプトについて、「アートにおいて『表現』や「コンセプト』以外にも『値段』は欠かせない要素です。もし5歳児がアーティストを名乗り、自分の作品の『値段』を決めると、どんな世界観になるのでしょうか」と説明。「子どもの値段の付け方は、現代アートの値段設定の不思議さとリンクする感じがあります。絵や工作の自由さも、やっぱり良いアート作品を見たときと近い純度の高い何かを感じます」と語っています。
(黒木貴啓)
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