
仏陀やゼウスなど宗教・神話関連の神々や偉人たちが戦う格闘ゲーム「Fight of Gods」(関連記事)。Steam早期アクセスを通じて今週リリースされ、ジーザス(イエス)といった危うい参戦キャラクターが登場することで国内外から大きな注目を集めた同作だが、マレーシア国内ではそのテーマ性が大きく問題視されていることが明らかとなった。
現地メディアの「The Sun Daily」によれば、マレーシアにおける各宗教の組織の代表者らは、「Fight of Gods」を「容認できないゲーム」として政府に提言したという。同国の国教であるイスラム教の法学者Mohd Asri Zainul Abidin氏は、「政府は直ちにゲームを禁止するかダウンロードリンクをブロックして、宗教的な緊張を避けるべきだ」とコメント。また仏教、キリスト教、ヒンドゥー教、シーク教、道教の協議会の代表者Datuk R.S. Mohan Shan氏は、「これは非常にセンシティブな問題で、到底受け入れることはできない。ゲームの販売を禁止するために、政府は即座に行動を起こさなければならない」と述べている。同国のキリスト教組織の長であるRev Dr Hermen Shastri氏は、神々の名をゲームで使うことはあまりにも無神経であり無礼だと伝えた。
この進言に対し同国の通信の規制や監視を担当する「Malaysian Communications and Multimedia Commission(MCMC)」は、マレーシア国内から「Fight of Gods」を購入できないように通信を制限しており、結果として現在マレーシア国内からはSteamストア全体へとアクセスできない状況が続いている。同作の販売を担当する英国のパブリッシャー「PQube」はKotaku UKに対し、「MCMC」から24時間以内に同作を利用不可にしなければ同様のアクションを続けるとの通達を受けたと語っている。またValveも既に今回の件を認識しており、事態解決へ向け当事者との接触をはかっているとPC Gamerに対し声明を発表した。
宗教に関する問題でゲームの表現が変更された・発売が停止された例は過去にいくつかあり、例えば「LittleBigPlanet」「格闘超人」「ゼルダの伝説 時のオカリナ」は、それぞれイスラム教の聖典コーランの表現を使用した楽曲を収録していたとして問題となった。2017年4月に「ストリートファイターV」のDLC「タイステージ」が同様の問題で配信が一時停止されたのも記憶に新しい(関連記事)。とはいえ、ゲーム内の描写によって国からストアへのアクセスが遮断されるというほど大規模な事件は、恐らく過去に例を見ないだろう。
「PQube」や中国のデベロッパー「Digital Crafter」は今回の件に関して、同作は明確にゲーム内容をガイダンスしており、プレイしたくないプレイヤーには選択の自由があると主張。一方で、特定の地域におけるルールや検閲を尊重すると伝えている。
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