ネット上では「5000兆円欲しい!」というスラングが流行っていますね。では5000兆円持った人が10人集まったら何円になりますか?
答えは、5京円です。
数字にすると、50000000000000000円。0が16個!
このように、数字のみで数を表す方法を“記数法”と呼びます。そして、「5京円」のように言葉(数詞)を用いて表すことを“命数法”と呼びます。命数法で用いられる数詞は京より大きい数にも存在します。
大きい数の単位はどこまであるの?
京の次の単位は、“垓(がい)”です。さらにその次は“●(じょ)”。その次は……。
※じょ=のぎへん(禾)に右側が「予」
まだまだあるので、分かりやすく表にしました。

これらの数え方は、江戸時代の数学書『塵劫記(じんこうき)』に書かれてあります。一番大きな数詞は【無量大数】でした。この言葉にはそれぞれ意味があります。そのうちのいくつかを紹介しましょう。
【億】
この漢字を分解すると、「人」「音」「心」になります。これは「心いっぱいに黙って考えられるほどの大きな数」という意味です。
【載】
「大地に載せられなくなるくらい大きな数」という意味です。
【恒河沙】
恒河とはガンジス川のことで、「ガンジス川の砂の数」という意味です。そりゃあ数えられない……。
筆者は小さい頃、これらの数え方を暗記して唱えていました。実際に使う場面はありませんでしたが。しかし、ふと気づいたのです。大きい数は知っていても、小さい数の数え方って知らない……!
小さい数の数え方って……?
小数点以下の小さい数って、なかなか日常で触れる機会がないですよね。
唯一思い出したのが、体温を計った時に「39度3分(39.3℃)」と表現することです。
ここで、3分(ぶ)は、0.3に当たります。1の10分の1を“分”と表すのです。
それでは、さらに小さい数の数え方を見てみましょう。

どうでしょう。聞いたことのある言葉はありましたか? どうやら無量小数は存在しないようですね。
私は初めて見たとき「こんな小さい単位、何に使うんだ」と思ってしまいました。実際不思議ですよね。
参考までに、サイコロで8回連続1がでる確率は6繊だそうです。昔の人たちは、想像力をはたらかせて頭の中でこれらの数を考えていたのでしょうか。
あまり目にする機会は多くない小さい数の数詞ですが、身近なところでは、野球の打率で“何割何分何厘”という表現を使いますね。
さらに、ミリメートルを表す漢字“粍”は、メートルを表す“米”に1000分の1の単位である“毛”を合わせて表現されています。
大きい数の数え方との大きな違いは、1桁進むごとに数詞が変わることです。
大きい数では万進(まんしん)といって、4桁ごとに数詞が変わります。十、百、千を重ねて使うことで、大きな数を表現していたのですね。
小さい数にはこれがないので、数詞で表現できる数も少なくなります。ニーズが少なく、表現できなくても困らなかったそうです。
大きい数も小さい数も、数え方は『華厳経』など仏教の経典に書かれている言葉などからきています。
今回は、『塵劫記』に載っているものを紹介しました。他にも昔作られた数詞はいろいろあります。その他にどんな言葉が伝えられてきているのか、興味のある方はぜひ調べてみてくださいね。ゆくゆくは文献の研究もぜひ!
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