にゃるら(@nyalra)です。前回のバキ記事が好評だったようで第二弾です。
さて、今回はバキ独自のルビの使い方になる訳ですが、手っ取り早く理解(わか)る代表的な例として……

「開始(はじ)め」があります。
この読み方はバキを読む上での基本中の基本でして、試合時に「開始(はじ)めいッッ」の叫びから開幕する事は珍しくありません。恐らくバキ読みの中で最も多用されている表現ではないでしょうか。
個人的に一番好きな「開始め」は

郭海皇 対 範馬勇次郎戦での見開きです。宙を舞う車椅子とただ立ち尽くす勇次郎の構図が素敵。ちなみにバキ世界ではセックスも試合の1つなので、当然性行為前にも「開始(はじ)め」が使用(つか)われています。

と思いきや、普通に「始め」が出てきたりで、やはり板垣先生の深い考えを理解し切るには、まだまだ一般読者では到底遠く及ばなかったり。

他にも代表的なルビとして「守護(まも)る」「理解(わか)る」「続行(つづけ)る」などもありまして、難しいところとして「敗北」は「敗北(まけ)る」でなく「敗北(やぶ)れる」だったります。更に「理解(わか)る」が「実(わか)る」に変化(かわ)ったりなど、ルビもグラップラーたちと共に成長していくのです。
この読み方に慣れてくると、友達とのLINEも「今期のアニメ視聴(み)たか?」とバキ風になってきたり。

このルビの使い手は歴戦のグラップラーたちのみでなく、バキ世界では恐らくアシスタントが描いたであろうタッチの違うモブですら使用(つか)います。「接近(ちか)づくのが見えないッッ」、なんともバキらしい良い盛り上げ方ですね。

個人的なひいきでまたまた郭海皇なのですが、「また闘(や)ろうや」はシンプルながらも痺れるルビでして、「戦い」でなく「闘い」である意識の違いがはっきり伝わります。
バキ中には「たたかい」もどんどん進化していきまして、中には「葛藤(たたか)って」「闘争(たたかい)」「格闘(たたか)わ」「親子喧嘩(たたかい)」と多種多様。

記念すべき初の特殊なルビは「達人(センセイ)」。まだ主人公であるバキすら登場していない頃から、漢字のよみをただ読むだけではない方向性が決定(きま)っている事が理解(わか)ります。

初期で好きなルビは、ボクシング部の高山さんが言い放った「女(キミ)」。この回の前にバキが地上最強の男について語る部分からつながり、グラップラー刃牙が無謀で馬鹿な男たちの物語であることを印象づけます。
ちなみに女のルビは後にSAGAでの「女(イロ)」も詩的で美しく、他にもSAGAには勢い良く乳首を吸いながらの「的確(ただし)かった」「快感(ダメージ)」など素敵ルビのオンパレード。
バキ世界でのルビも最新に近づく程に進化していき、範馬刃牙での親子喧嘩(たたかい)では、もはや普通に読むパターンの方が少ないのではレベル。

「臀部(けつ)で炸裂(はじ)けた…人類(ひと)ならぬモノの衝撃…………」
逆に衝撃はしょうげきで良いんだと安心してしまうくらいの、激しいルビの乱舞ッッ!

名シーンである「イヤミか貴様ッッ」の前にも、わざわざ「十八(18さい)」とルビが振られている勇次郎のおちゃめさも語るに外せません。

更には地上最強の親父からの制裁時(こういうとき)にふさわしい鞭打を喰らった際にバキが発した「いたい」の連呼も堪りません。これほどに親のしつけを痛そうに描ける作家がいるでしょうか。

しかし、このルビの進化のゴールとも評すべき最終形態として、地上最強の親子喧嘩の終幕である『範馬刃牙』最終巻に使用(つか)われた「男雄漢比較(おとこくら)べ」は、もうここまで読んできた読者としては感涙モノです。
ここまで散々男とはなにかを積み重ねてきたからこその「男雄漢比較べ」。これほどに範馬親子の喧嘩に適した表現はない。
現在連載中の「刃牙道」でも、さらなるルビの発展を見届けていきたいです。
(にゃるら)
(C)板垣恵介(週刊少年チャンピオン)
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