2018年3月31日〜4月14日にかけ、東京都のアーツ千代田3331で、「別れ」をテーマにした企画展「あなたと私のお別れ展」が開催されます。実際にクロアチアに存在する「別れの博物館」が日本に初上陸したもの。入場料は一般1300円、大学生1000円、中高生500円、小学生以下は無料。


この「別れの博物館」は“別れの経験を共有する”をコンセプトに、クロアチアで2006年に始まったもの。4年間恋愛関係にあった元カップルが「思い出の品物とお話」を展示してみてはどうだろう――と考えて立ち上げました。
企画展は現在までに世界29カ国45都市を巡回しており、30万人以上が来客。ロンドンでは劇場、オランダでは教会、マケドニア共和国は郵便局と、それぞれ個性的な場所で開催しているのもこの企画展の特徴です。

クロアチアにある「別れの博物館」

ロンドンでの開催の様子

こちらは台北のもの
「愛する人との何らかの関係が終わりを迎えた時、その時間を思い出すようなアイテムとそれにまつわる品物」を展示するのが別れの博物館のコンセプト。有名なアート作品や歴史的価値のある絵画などではなく、ぬいぐるみや調理器具、オノといった生活の中で何げなく使っていたものや、愛する人が残していったものなどが展示されています。
展示の一例として2つの小さな置物を紹介します。

2人の女の子の置物
両手で手紙を持って立っている女の子。その顔は手紙をワクワクしながら見ているようです。待ちに待った手紙の返事が来たのでしょうか。もう1人は椅子に腰掛け編み物をしている女の子。しかしその視線は手紙を持って立っている女の子に向けられています。もしかしたら編み物をしている子も手紙の返事が気になっているのかもしれません。
この2つの小さな置物は、寄贈者の2人の子どもを象徴しています。夫の激しい感情の起伏に耐えられなくなっていた寄贈者は、子どもたちを連れアイルランドへ向かいます。寄贈者の夫と娘2人は離れた後も手紙を送りあったり編み物を送ったりしており、その姿を忘れないようにと買った人形なのだそうです。
このように展示してある品物1つ1つに「別れ」という共通点を持ったストーリーが存在します。先ほどの品物はアイルランドの話でしたが、日本でもこの話に共感を覚える人もいるのではないでしょうか。創設者の2人も「別れの話」に共感することで人々の心がいやされてほしいと語っています。
現在「別れの美術館」はザグレブの旧市街にあり、13世紀に建立されたカトリック教会「聖マルコ教会」のすぐ近くにあります。
今回の日本開催にあたり「別れ」にまつわる品物を2月15日まで募集しているので、興味のある方は応募してみてはいかがでしょうか。応募は専用ホームページから可能です。小さなコンテナから出発し世界が共感した、見えない「別れ」のカタチ。他の人の「別れ」がどんなカタチをしているか見てみたいものです。
(戌田港)
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