まがまがしい神をキュートな編みぐるみに変える作家さんに会ってきました。
編みぐるみの神々
最後に、澪さんが作った多くの編みぐるみの一部から、思い入れのあるものや、制作時のエピソードを紹介しよう。

神話に登場する架空の神クトゥルフ。クトゥルフ神話の原作者の1人が海産物嫌いだったので、タコやイカを思わせる造形になったと言われている。


ニャルラホテプは、顔がなく、姿も変幻自在。時空を行き来できるトリックスター的な神。澪さんが最も好きなキャラクターでもあります。「顔がないという設定を、黒い糸で表現しました」(澪さん)

ハスターもまた、正体が不明な神。マントを着た姿で表現されることが多い。「編むときは大変でしたが、とにかく触手がいっぱいあるデザインにしてみました」と澪さん。世界観を壊さないようにデフォルメしたり、想像で姿が分からない部分を補ったりしているそうだ。


触手の生えた水かき状の耳や、先が広がった長い鼻を持つ、象に似た姿の神、チャウグナー・フォーン。耳の形が複雑だから、編むときは難しかったのではないだろうか。「平らに編んでから、針を刺し、糸を引き抜いて編むと、このようにデコボコを作ることができます。平面を編む技術、イメージを形に起こす力など、編み物を続けてきて身についた技術が生きました」(澪さん)。目を赤にすることで「ただの象の編みぐるみ」に見えるのを避け、怖ろしげな雰囲気を出したのだそうだ。


(谷町邦子)