ホワイトハウスがゲームの有害性を訴えるため、暴力的で残虐な場面だけを集めた動画をYouTubeにアップし物議を醸しています。米NPO「Games for Change」はこれに反論する形で、ゲームの美しさを切り取った動画を投稿。ホワイトハウスの偏った考えを批判した動画に、SNSでは共感の声が集まっています。
3月8日、ホワイトハウスのYouTubeアカウントは「ゲームの世界の暴力(Violence in Video Games)」という88秒の動画を公開しました。動画には殺傷能力の高い銃で人を撃ち抜いたり、ナイフや斧で人を殺す場面など、テレビゲームの残虐なシーンだけが集約されています。

一般人が撃たれる暴力場面も(ホワイトハウスが公開した動画より)

「CoD:MW2」の有名な空港でのシーン。このあとテロリストにより一般人が虐殺される。日本版では規制のため一般人に発砲すると即ゲームオーバーになった日本版では規制のため削除された(16日14時51分訂正)/(ホワイトハウスが公開した動画より)
3月12日、Games for Changeはホワイトハウスの極端な意見への反論として、「ゲームの世界の88秒(88 Seconds of Video Games)」というタイトルで動画を公開。ゲームだからこそ体験できる友情や冒険、そして幻想的な美しさが映し出され、「すべてのゲームプレイヤーとクリエイターへ ありがとう」というコメントで動画は締めくくられます。動画の概要欄には「ホワイトハウスの見当違いなゲームへの非難に挑戦する」という明確な意見表明も。

Games for Changeは、ゲームやテクノロジーで実社会に変化を与え、世界をよりよい場所にしようとするNPO。2004年に設立され、米New York Timesでプロジェクトが紹介されたこともあります。
それぞれの動画の評価を比較すると、ホワイトハウスの動画は高評価約2600/低評価約8.9万、NPOの動画は高評価約1万/低評価約170と、明暗がハッキリと分かれる形に。ホワイトハウス側の動画では「これが共和党が若者から支持を失う方法」という辛口なコメントも確認できます。
NPOのTwitterにも感謝の言葉が寄せられている。「偉大な美しさ、創造性、ストーリーテリングがゲームにはあると気づかされる」
ゲーム業界の専門家エリック・カイン氏は、ホワイトハウスがゲームを批判する背景には、銃規制の問題があると分析しています。米国では教育現場での青少年による銃乱射事件が後を絶ちませんが、その原因を銃社会そのものではなく、暴力的な描写を含んだ映画やゲームに求める政治家が多数います。
トランプ氏もその一人で、大統領になる以前の2012年に「ゲームの暴力と栄光は止めなくてはならない。あれがモンスターたちを作り上げているんだ!」とツイートしていました。
「モンスターを生み出す暴力ゲームを止めなくてはいけない」
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