内部障害や難病をかかえる人、義足や人工関節の使用者など、外見からは分かりにくい「手助けが必要な人」を示す「ヘルプマーク」。2012年に東京都で始まって以来全国に広まりつつありますが、まだ周知は不十分のようで、ネットでは認知度の向上をうったえる声が挙がっています(関連記事)。
そんななか、「ヘルプマークを使用し始めて数年、初めて声をかけてもらった」という声が、Twitterに投稿されました。投稿主の新坂時深(@FredMarks_)さんは、「あなたのおかげで『ヘルプマークをつける意味』が0から1になりました」と、親切にしてくれた女子高生へ感謝。生活圏でヘルプマークを付けている人をほかに見ないことに孤独感を覚え、付ける意味を見失いかけていたときの出来事で、とても勇気づけられたといいます。
ツイートは広く拡散され、声をかけてくれた女子高生にまで届きました。翌日には彼女がダイレクトメッセージ(DM)で投稿主に連絡してくれたのだそうです。思いがけぬ縁に喜ぶ新坂さんに、編集部は詳しい話を聞きました。
新坂さんがヘルプマークを使用し始めたのは、東京で暮らしていた約2年前のこと。発達障害による感覚過敏などの傾向があり、公共の場で大きな音や多量の情報にさらされると動けなくなることがあって、助けを必要としていたからです。2017年には白内障が両目に発症し、まだ右目の手術を終えたばかり。距離感がつかめず、近くの物も見えにくくて不自由しています。

新坂さんが常備しているヘルプマーク(画像提供:新坂時深さん)
しかしこの約2年間で、どこへ行っても声をかけてもらえず、「付けることに意味はあるのか」と疑問に思ったことも。それでも「ポスターなどで見かけたけれど、支援しなきゃいけない存在なんて本当はいないんじゃないか」と人に思われたくなくて、ヘルプマークを付け続けてきたそうです。
そして初めて声をかけてもらえたのは、青森市で「世界自閉症啓発デー」にまつわるイベントが開催された4月2日のこと。見物のために青森駅を目指し、車内で環境音にさいなまれながらも下車すると、ホームで女子高生に「何かお手伝いできることはありますか?」と、たずねられたといいます。
彼女は学校近くの駅に掲示されたポスターでマークの存在を知っていたとのこと。新坂さんはあまりのうれしさに一度は言葉を詰まらせましたが、初めて声をかけてもらえたことと、その喜びを伝えてお別れしたそうです。
女子高生はこれを機会に、ヘルプマークのことをもっと知ろうとTwitterを検索。偶然に新坂さんのツイートを発見して「もしかして自分のことでは」と思い、DMを送ったそうです。文面には「次の機会があったらあいさつさせてほしいし、そのとき何か不安なことがあったら手伝わせてほしい」と。新坂さんはあらためてお礼をし、「また会える機会があればすてきだと思う」と返信しました。ヘルプマークの現状を表す出来事でしたが、これがきっかけでもっと広まるといいですね。

ヘルプマーク(東京都福祉保健局のサイトより)
(沓澤真二)
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