日本人はアルコールに弱い体質が残るよう進化してきたことが、理化学研究所(理研)などの研究で分かりました。論文はイギリスの科学雑誌「Nature Communications」に掲載されています。

生物の性質は、世代を経るごとに周囲の環境に対応して変化することがあり、その現象を適応進化と呼びます。人間の場合、高所に住むチベット人集団は低酸素環境に、アフリカ人集団はマラリアなどの病原体に強くなるよう適応進化したといった研究結果が報告されてきました。
日本人集団における適応進化の詳細は解明されていなかったことから、理研・大阪大学・慶應義塾大学・日本医療研究開発機構からなる研究チームは調査を開始。日本人集団約2200人を対象に、遺伝情報の解析を行いました。
すると、アルコールを代謝する酵素を作る遺伝子が、適応進化の影響を受けて子孫へ残されてきたことが判明。この酵素は日本人の場合、欧米人よりも代謝の働きが弱い傾向があります。つまり、日本人はアルコールに弱い性質を、環境に適応するために受け継いできたことになります。これは他の人類集団では見られない、日本人集団特有の結果とのことです。

(沓澤真二)
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