ある書店の公式Twitterで展開されている、「POP担当日記」が自由すぎて面白いと評判です。POP担当者が漫画調でつづる絵日記で、ある日の投稿では連日の暑さのあまり、「服を着たままスイカ丸々素手で(中身をえぐりとって)1個食い」してみたエピソードが。本のことまるで関係ねえっ!

この店は、青森県八戸市にある木村書店。1927年創業の老舗です。日記は毎日のように投稿されており、「ブロッコリーを『ぶろころり』と言い間違えてしまう」「ベッドで読もうと手に取った本を、本棚の前で読みふける」など、本と関係したりしなかったりする日常が自由につづられています。







自由帳の感想をもらって喜んでいたら、「大人になると描かなくなるんだよね」と言われ、最近また描いていることを言い出せず微妙な気分になった話
日記と並行して、実際に店へ出しているPOPも紹介。オリジナルキャラクターの「キムネコ」が、本の魅力を紹介するスタイルです。『いちごだんめん図鑑』(関連記事)のPOPでは、キムネコがかわいいイチゴのドレスを着ていると思えば、『スマホゲー依存症』では、スマホがキムネコを拘束していたり、こちらも自由な発想で本にピッタリの演出をしています。
イチゴのドレスがキュート!
フライ作りたくなる
イーブイにふんするキムネコもかわいい
その一方で、ちょっぴり毒のある表現も
POPを紹介したあとで、その本の感想を日記にする、それぞれが連動したパターンも。小学生に向けたPOPのあとで、「絵ばっかりの本を読んでも読書っていうの?」と子どもに聞かれ、「ばっちり読書です!!」と答えたというほっこりエピソードなどは、がぜん本への興味をそそります。
宮部みゆき『悪い本』のPOP
その後の日記がレビュー漫画に
「もじばっかりの本なんてよめるか!!!!」という小学生に本をすすめるPOP
からの、「絵ばかりの本でもいいんだよ」というメッセージ
いい話にほっこりしていると、急にカオスなネタがぶっこまれる
変幻自在の作風で本の魅力を演出する同店のPOP担当者に、編集部は詳しい話を聞きました。POPを作り始めたきっかけは約2年前、「孫に絵本を贈りたいので選ぶのを手伝ってほしい」と常連客に頼まれたときのこと。一般的なベストセラーをすすめたところ、「あなたがいいと思う1冊」を希望され、「自分が読んで面白かった本を紹介することは書店員として大事」と気付かされたのだそうです。
その後、本来は1人1人に紹介すべきとは思いつつもなかなか難しく、POPという形でオススメを紹介することに。独学のイラストで制作を始め、これまで手がけたPOPは100以上にもなるそうです。また、POPの刺さった本の購入者には、POPも進呈するサービスも実施しています。
Twitterでの展開は、POP紹介が2017年6月から。しばらくして、「POPだけでは読書好き以外には刺さらない」「毎日面白いものが投稿されていれば、興味を持ってもらえるかもしれない」と考え、同年10月から日記も始めたといいます。多忙な教科書の販売時期と、定休日を除いては毎日投稿。効果はあったようで、県外から足を運んでくれるお客さんもいるそうです。
最後に「上司からも『自由にやっていいよ』と好きにやらせてもらっており、感謝している」と、担当者。店のおおらかな姿勢が、楽しい活動を生んでいるようです。
画像提供:木村書店
(沓澤真二)
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