サッカー日本代表はワールドカップグループリーグ最後のポーランド戦で、0-1で敗れながらも決勝トーナメント進出を決めました。終盤、負けていながらパス回しで時間稼ぎをした消極的な采配への賛否はさておき、実際「攻めにいく」と「守りに徹する」のでは、戦略的にどちらが有利だったのか? 高校教師のさいとうあきを(@akio_saitou)さんが数学的に分析し、Twitterで公開しました。
試合前のグループHの状況を整理すると、トップはコロンビア、最下位は予選敗退が確定しているポーランド。日本とセネガルは勝ち点・得失点差・通算得点ともに同一の2位で、日本は反則が少ない分、フェアプレーポイントで優位に立っていました。そして迎えた日本対ポーランドとセネガル対コロンビア(同時進行)では、日本が1点を失ったのち、セネガルも後半29分に失点。両試合ともこのまま終わると試合前と得失点などの状況は変わらず、日本の決勝進出が決まる状況でした。
これをふまえて、投稿主はその後4チームが1得点するか否かによる結果の分岐を、日本代表が「攻めにいった場合」と「守りに徹した場合」に分けて抽出。前者は16通りのパターン中、10通りで日本の決勝進出が決まります。
後者では、既に1点リードしているポーランドに2点目を狙うインセンティブがないことを前提に日本とポーランドは無得点仮定。セネガルが「勝ちにいくしかない」状況もあり、現実の結果通りにセネガル×コロンビア戦の成り行きで日本の決勝進出の成否が決まるシンプルな図式にまとめています。

こうした条件をもとに、投稿主は「日本が点をとる確率/とらない確率×セネガルが点をとる確率/とらない確率<ポーランドが得点かつ、コロンビアが点をとらない確率/それ以外の確率」という条件式を立て、これが成立した場合「日本代表は『守りに徹する』が有利」としました。計算例として、各チームの直近5試合の平均得点から、試合終了までの15分で点をとる確率を割り出して代入した結果、両辺の数値はおよそ「1<3」に。日本代表の戦略は、確率的には正しかったとの推論が導かれました。

ツイートには「あのパス回しを数学的に捉える人もいるのか」「観戦経験さえあれば、日本代表の戦略を合理的な判断ととることはできるが、それを理論的に説明するのは面白い」など、感心する声が多数。その一方で、「サッカーの得点率を割り出すにはもっと多くの条件が必要」といった指摘もあります。上記の計算例から「守るが有利」と結論づけることはできないかもしれませんが、一定の指標として意義のある試みといえるでしょう。
画像提供:さいとうあきをさん(@akio_saitou)さん
(沓澤真二)
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