栃木県さくら市の市内情報発信施設「さくらテラス駅前展示館」で2018年9月11日から、近年の歴代ホンダのF1パワーユニットを一挙公開する特別展示「Honda F1パワーユニット展示 挑戦し続けるDNAの形」が行われます。

公開されるパワーユニットは、ホンダF1の第四期(2015年から)で2015年のマクラーレン MP4-30に搭載された「RA615H」、2016年のマクラーレン MP4-31に搭載された「RA616H」、マクラーレン MCL32に搭載された2017年「RA617H」です。
現代F1のエンジンの排気量はなんと1.6リッター。排気量の値だけならば往年の4AGエンジン搭載ハチロクとか、初代NA型ロードスターと同じで、よくある現代のコンパクトエコカーなどともあまり変わりません。しかしパワー、そして中見が大きく違います。2018年シーズンにおけるトップF1チームのパワーユニットは、1000馬力近い出力と熱効率50%を実現するとされています。
2018年F1のレギュレーションでは、排気量1.6リッター、最大回転数は毎分1万5000回転、シリンダー仕様は90度バンクのV型6気筒、最小重量は145キロです。そしてこの1.6リッターV6エンジンにターボチャージャーと2種類のエネルギー回生システム、運動エネルギー回生システム「MGU-K」と熱エネルギー回生システム「MGU-H」、バッテリーなどを備え、これらで得たエネルギーを出力に変換するハイブリッドシステムを搭載しています。ちなみに熱効率は2010年くらいの一般ガソリン車で30%台、効率に優れるハイブリッド車でも40%にようやく達したほど。熱効率を1%高めるだけでもものすごい技術力が必要とされています。こういった技術が新世代の市販車にもフィードバックされていくのです。

2015年、ホンダは7年ぶりにF1に復帰し、黄金期と呼ばれた第二期(1983年から1992年)と同じマクラーレンチームとタッグを組んだ「マクラーレン・ホンダ」の名称が復活したことから往年のような活躍が期待されました。そして2018年シーズンはトロ・ロッソチームとのタッグを組み、2018年9月現在、コンストラクターズランキングで8位に付けています。
なぜ栃木県のさくら市でこのような展示が行われるのでしょう。それはさくら市にホンダF1を始めとするホンダ四輪モータースポーツの技術開発拠点「HRD Sakura」(本田技術研究所、2014年稼働)があるからです。ホンダF1をはじめとするホンダのモータースポーツ車両や新技術が誕生する、まさに聖地の1つ。ホンダの一般車向け工場で定期的、あるいは団体向けなどに開催されている工場見学コースはないようですが、今回を機会にさくら市・JR氏家駅まで行ったならば、聖地にも巡礼してみてはいかがでしょうか。


さくらテラス特別展「Honda F1パワーユニット 挑戦し続けるDNAの形」
- 開催 2018年9月11日〜9月27日 9時〜18時(月曜日休館)
- 場所 「さくらテラス駅前展示館」(栃木県さくら市氏家2337-7) JR氏家駅東口
- 最寄り駅 JR東北本線 氏家駅
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