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三十路(みそじ)――すなわち30歳といえば、仕事や結婚について考える人生のターニングポイントとして挙げられることの多い年齢です。では、悠久の時を生きる「魔女」の場合は? 『ヤングアニマル』で連載中の、ちょっと特殊な「お一人さま女性あるある」を描いた魔女コメディ漫画『魔女は三百路(みおじ)から』がTwitterで注目を集めています。作者は漫画『モトヨメ』シリーズで人気を博した、松本救助さん(作画)と原田重光さん(原作)のコンビ。

魔女たちの間では「三百路(みおじ)」がターニングポイント
主人公の黒川御影は現代に生きる魔女。かつては「月影の魔女」として背徳の限りを尽くしてきた彼女ですが、それも100歳200歳だったころの話。三十路ならぬ三百路(みおじ)を迎えて丸くなった現在は、社会に身を隠すために一般企業で働く毎日を過ごしています。趣味と呼べる日課も、SNSに「脳内彼氏との妄想フォト」をアップすることと、スマートフォンの乙女ゲームくらい。それはそれで自由で楽しく、むしろある意味では背徳的な生き方といえるかもしれませんが、独り身に寂しさを感じるのもまた事実。
そんな黒川さんの前にイケメン新入社員(ゲームの推しキャラに激似)が現れ、「でも278歳も年下だし…」と葛藤しながらもときめきを取り戻していくというのが本作の大筋です。

人様には見せられないような「冒涜的快楽」が魔女のエネルギー。Instagramに妄想写真をアップするのも自給自足のため……?

セクハラされたら呪っちゃうぞ

「でも278歳も年下だし…」
すでにコミックス1巻が発売されており、付き合いで参列した結婚式で教会の天使たちに煽られたり、「サバト」と称して安居酒屋で魔女仲間とくだを巻いたりと、ファンタジーなのに共感せざるをえないシチュエーションが満載。お一人さまならではの楽しさと寂しさが、100年単位のビッグスケールで描かれています。

結婚式の幸せなカップルと、教会という神聖な場所。お一人さま魔女にはWパンチで効く……

サバトという名の女子会
ファンタジーながらも生々しい「お一人さま描写」が魅力の本作。作画担当の松本救助さんの実体験もネタに昇華されているそうです
さて、作中では残念な300歳として描かれている黒川さんですが、Twitterのリプライ欄には「かわいい」という感想が多数寄せられています。普段はこじらせた妄想ばかりしているとはいえ、魔女としての実力は本物。上司のセクハラを呪いで受け流したり、ささっと媚薬を錬成してしまったりと、見え隠れする色気とかっこよさはまさに冒涜的です。こうしたギャップにやられてしまった読者が多いのかもしれません。
1巻を読み進めていくと、魔女としての信念や悲哀についても語られ、さらに魅力が熟成されていきます(残念さも極まっていきますが……)。まさしく「魔女は三百路から」なかわいさに堕ちるもよし、楽しくも胸を刺す「お一人さま」あるあるに共感するもよし。魔女としての生き方と女性としての幸せの間で揺れる黒川さんの今後にも注目でしょう。

芯の通った生き様がステキ

完全に末期

1話試し読み




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