架空の絵本出版社「どーなっつ文庫」のアカウントが注目されています。ツイートの内容は主に刊行物の紹介で、当然それも虚構。初公開の「あしをあらおう!」は、タイトルこそ普通にありそうな「道徳もの」風ですが、表紙には手錠と足かせがはめられた犬のイラストが……「足を洗う」って、「悪事から」かっ!
コンセプトムービーまで作られていますが、架空の話です
アカウント開設後、初めて紹介された絵本

ほかにも、「ないしょだよ!(相手に紙幣を握らせながら)」や、3つ目の要素が全てを台無しにする「うさぎくんと おおきなおうち と日照権訴訟」など、ファンシーな絵柄や柔らかいタイトルにブラックジョークを忍ばせた絵本が多数。ウサギとカメの競争に「不公平だ」とクソリプが飛んでくる「たのしいむかしばなしシリーズVol.1 うさぎとかめとアイコン未設定アカウント」のように、ネットのパロディーもあります。





冬の新作「ぐーちょきぱーで なにつくろう?」


実在の絵本でもよくある、「ずかん絵本」や「しかけ絵本」も。しかし、前者の「のみもの」は表紙の写真がラーメンですし、後者の「がっきであそぼう!」の内容はDTMソフト「Toxic Biohazard」です。体裁と内容が、あきれるくらいマッチしない。



このような「あり得ない」絵本の数々は、いかにして生まれたのか? どーなっつ文庫をこっそり(?)運営している、マスティ(@DoughnutsCinema)さんに話を聞きました。一連の絵本ネタは、かつて個人アカウントで公開したネタ画像「おばけなんかこわくない! ただ目的もなく何時間も働いていつしか自分が本当にやりたかった事すら忘れてしまう日がくるほうがよっぽどこわい!」が原型なのだそうです。シビアなサブタイトルが一番怖いよ!
サブタイトルで現実を突きつけてくる恐怖の絵本が、どーなっつ文庫の原型
さらに、この画像を「さも実在する絵本のように編集したら面白いのでは?」と実験してみたところ、ものすごくシュールなできばえに。これを利用して、普段からよくやっていた「子ども向けの絵柄でやるカオスなネタ」に絞ったアカウントを作ろうと思い立った結果が、どーなっつ文庫だそうです。コンセプトは「だれもしらない、ふしぎな絵本」で、「大人も楽しめるような絵本」が目標。
世界観を補強するため、「架空の読者から寄せられた架空の感想」なども公開しています
なお、公開している絵本は実物として作り込まれているわけではなく、中身はおろか表紙すら存在しないとのこと。無印良品で販売されている無地の絵本型ノートを撮影し、イラストと合成して印刷物に見せかけているのだそうです。「あり得ない絵本」というか、「ありもしない絵本」だった。

冬の新作「かくれんぼ」の中面。合成が巧妙
ツイートに見られる「出荷しました」といった表現は「絵本画像の投稿予約が完了した」意味にすぎず、実物の製作や販売、展示といった予定はなし。「読んでみたい」との反響もしばしばあるので、検討の余地はあると考えているそうです。ただし、本当に子どもの目に直接触れる危険性を鑑みて、実現するとしたら刺激の少ないネタのみにするとのことでした。
画像提供:マスティ(@DoughnutsCinema)さん
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