雑誌に掲載される読み切り作品には傑作が隠れているもの。しかし読み切りは単行本に収録されないことも多く、後から読みたくてもなかなか読めません。
せっかくの作品を読んでもらえなくなり残念なのは作者にしても同じことです。それならいっそ、読み切りをまとめて自費出版してみては? 漫画家の猪狩そよ子(@soyoko_igariii)さんが実体験をまとめつつ呼びかける漫画が参考になります。

自費出版してみよう!
2004年に『花とゆめ』で漫画デビューした猪狩さんが自費出版を思い立ったのは、半年かけて資料や取材のために巨額の投資をして描いた連載用のネームが全没になったことがきっかけでした。
その時点での猪狩さんの収入は毎月のささやかな電子書籍の印税だけ。このままではもう漫画を描くことができない……そして、たどり着いたのが過去作の自費出版という発想でした。

自費出版を思い立つ猪狩さん
コミックス未収録の読み切りが25本もあったという猪狩さんは、すぐさま花とゆめ編集部に相談。編集部が協力的だったこともあり、読み切りを自費出版できることになりました。
当初KDP(Kindle Direct Publishing)での出版を検討していたそうですが、その際目に止まったのが「ナンバーナイン」という代行業者さん。

怪しみ全開で打ち合わせするも、真摯に対応してくれた
KDPでのロイヤリティーが最大で70%であるのに対して、ナンバーナインでは80%。さらに100ストア以上での配信に対応するとの触れ込みでした。「怪しみ全開で打ち合わせに臨んだ」とぶっちゃける猪狩さんですが、ナンバーナインの担当者は真摯に対応してくれたとのことで、最終的にナンバーナイン経由での出版を決めました。
作家をサポートする熱意が伝わってきますね

KDPと比べてみた結果、ナンバーナインに正式に代行をお願いすることに(※ナンバーナインのKindleの料金比率は正確には「25%」ではなく、「25〜35%」とのこと
猪狩さんは、売れるかどうかが分からない新人の単行本を出す余裕がない出版社の事情にも理解を示しつつ、「だったらもう自分で出しちゃえばいいんじゃないか!?」と持論を展開。
さらに、読み切りを自費出版するメリットとして、収入をアップさせて漫画制作にかける時間を増やせることに加え、過去作の電子化により作家がポートフォリオにバリエーションを持たせられることも挙げています。

いい漫画は自費出版で出しちゃおう

自費出版のメリット

自分を見直すいいきっかけになったとも
そうして完成した短編集『誰も知らない29日-片恋憧憬短編集-』は絶賛発売中。猪狩さんは自作の宣伝と共に「過去の名作読み切りをまた読みたいから みんな自費出版してね!」とも呼びかけています。
画像提供:猪狩そよ子(@soyoko_igariii)さん
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