バトルものやファンタジー作品によく出てくる、「○人衆」や「四天王」。しがないサラリーマンが、こうした「中ボス的な幹部陣」に抜擢される漫画が注目を集めています。作者は「ファンタジック社畜漫画」に定評のあるベニガシラ(@poppoyakiya)さん(関連記事1/2)。今回は海外駐在員が持ち前の交渉術でがんばります。

物語は魔王による四天王の招集から開幕。“豪「炎」の突撃士”ウルマンダー、“烈「嵐」の魔導者”シルファード、“「地」磊(らい)の防壁師”ゲーノームと、得意な属性が織り込まれた異名とともにメンバーが呼ばれていきます。そして最後に「“『海』外の駐在員”ウチムラ・デンノスケ」と呼ばれた男こそ、主人公の内村伝之助。単なる役職を「海のリハク」みたいに言うな。

交通事故に遭って異世界に転生するなり幹部に取り立てられ、内村は困惑気味。「海外に左遷された落ちこぼれが何の役に?」と自信なさげですが、彼の資質を魔王は見抜いていました。
魔王の事前調査によると、内村は入社3年目で海外赴任し、現地の言語を1カ月で習得。現地人と積極的に交流してプロジェクトに大きく貢献したものの、会社からは評価されていなかったといいます。優秀ながら不遇の身にあった彼を、魔王は「我なら活躍させられる!」と評価。その人柄にほだされ、内村は快く拝命しました。

内村に下された任務は異種族との交渉。ちょうど魔王軍は種族間の連携を推進しており、彼の才覚が求められていたのです。相手は気難しいオーク族でしたが、内村はさっそく海外赴任時につちかったスキルを発揮。オークの懐に飛び込んで折衝を重ね、1カ月間で相手の家族の話で盛り上がれるほどに打ち解けました。娘さんが進学希望だと聞くと、すかさず「魔王軍には良い学校が」とアピールする抜け目なさよ。

さらに1カ月が経ち、ついに内村の努力が結実。オーク族の魔王軍加入が正式に決定しました。魔王からは「貴様を迎え入れて正解だった」と、このうえないねぎらいの言葉と報奨金が下され、内村はすっかり四天王を天職として受け入れるのでした。

作者は余談として、「経験上、海外プロジェクトにおいて内村のような人材は重要なのに、成果が数値に表れにくく評価されづらい」と、悲しい現実も語っています。願わくば、貢献した人が正当に評価される社会であってほしい。
作品提供:ベニガシラ(@poppoyakiya)さん
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