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小学校で教わる掛け算の筆算。そのちょっと変わった計算方法が「見たことない」「計算間違いしにくくなりそう」と話題になっています。

斜線を入れたマス目に掛け算の答えを書いていき……

同じ斜線上の数字を足していくと、答えが出ます
一般的に知られている筆算方法は、2つの数字を上下に並べて書き、「下の数字×上の数字の1の位」「下の数字×上の10の位」「下の数×上の100の位」……と掛け算を繰り返し、最後に全ての数字を足し合わせるというもの。
それに対し、漫画家・加藤マユミさん(@katomayumi)の「小3の息子の算数プリント」に書かれていたという計算方法は以下のようなやり方で、斜線を引いたマス目を利用して計算を行うのが特徴的です。
- リーグ戦の表のように、マス目の外側に2つの数字を縦向き、横向きに並べる
- 各マスで縦向きの数字、横向きの数字を掛け算。10の位を斜線の左側、1の位を右側に書き分ける
- 最後はマス目ではなく、斜線で囲まれた部分に注目。その中の数字を順番に足し算
言葉で説明すると何やら難しそうに見えますが、要は九九の答えを書き込んでいき、それを足し算しているだけ。マス目や斜線で区切られた範囲を見ていけばよいため、「数字がゴチャゴチャになって、どの数字を足し算すればいいか分からなくなった」「繰り上がりを見落とした」といったミスが少なくなりそうです。
ちなみに、この筆算方法は「格子乗算」「格子掛け算」と呼ばれているもの。ネット上には「インド式計算の1つ」「中世ヨーロッパでは流行ったやり方」「ロシアの農民が使っていた」などの情報がありますが、一説にはインドで誕生し、各地に広まった計算法とされ、「昔から(日本を含む)世界中で知られていた」というのが実際のようです。
歴史をたどると、格子乗算を行うための器具も存在。「対数」の発明者として知られるスコットランドの数学者ジョン・ネイピア(1550年〜1617年)が開発した「ネイピアの計算棒(ネイピアの骨などとも呼ばれる)」が有名で、類似の道具は19世紀後半まで作られていたといいます。

一般的な筆算だとこんな感じになる「7384×638」の計算

格子乗算だと、かなり見た目が変わります

この「ネイピアの計算棒」は、言ってみれば「段ごとに切り分けた九九表」のようなもの。計算式に合わせて並べ替え、その数字をマス目に書き写すと掛け算は完了

後は足し算だけするだけ

計算中に数字を書く場所が線で区切られているためか、すっきり見えるような?
主要参考文献
- 東西の格子乗法から見た近世日本数学 : 中国の「写算」「鋪地錦」とNapier's bonesの日本伝来(数理解析研究所講究録別冊/城地茂氏ら)
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