米Appleが発表したクレジットカード「Apple Card」。セキュリティを強く配慮した設計など、Appleらしい「クレジットカードの再定義」が話題になっています。iPhoneを使ったApple Payでの利用を前提としていますが、Apple Payが使えない環境での利用も想定して、物理カードも用意されています。この物理カード、なんと金属製、それもチタン製なのだそうです。

Apple Cardについておさらいしましょう。基本的にはiPhoneを使ったApple Payによる決済での利用を想定しています。申し込みは「Wallet」から簡単にでき、支払い履歴はアプリ上から分かりやすく管理できるようになっています。カード番号はデバイスに対して付与され、利用時には指紋認証(Touch ID)か顔認証(Face ID)を必須とするなど、安全な利用を強く意識したものになっています。使うたびに利用額の2%をキャッシュバックするというのも驚きです。
国際ブランドはマスターカードで、米ゴールドマン・サックスが一般消費者向けに初めてイシュアとして発行するクレジットカードです。当面、クレジットカード大国である米国のみとなり、今夏から発行が始まるとのことです。
iPhoneでの利用を前提としたApple Cardですが、Apple Pay決済に対応していない環境で使うために、物理カードも用意しています。目を引くのはその券面(カードフェース)で、カード番号や有効期限などクレジットカードお決まりのものがなく、Appleロゴと利用者の名前、接触型ICだけというシンプルなもの。セキュリティに配慮した形ですが、Appleらしいシンプルなデザインになっています。材質は金属のチタン。丈夫かつ軽量な特徴を生かし、カメラの外装などに使われることもあります。

金属製のクレジットカードはいくつかありますが、お金持ち向けのプレミアムなカードがほとんど。米JPモルガン・チェース銀行が発行する「パラジウムカード」(現在は「リザーブカード」に変更)はその名の通り、ジュエリー用貴金属としても用いられるパラジウムと金でできたカードです。カード単体の金属だけでも10万円相当の価値があるという試算もあり、当然ながらあきれるほどの富豪しか持つことができません。

チタン製カードといえば、アメリカン・エキスプレス(アメックス)のブラックカード「センチュリオン・カード」で選べることが知られていますが、これも年会費37万8000円(税込)、入会金54万円(同)というお金持ち専用カード。入手のハードルはかなり高く、そのあふれるステータス性から憧れる人も多いのだそうで、ネットではハイクラスな人々によるさまざまな体験談が語られています。関心のない方には全く理解できない世界だとは思いますが。

そんなお金持ち限定の金属製カードを年会費無料で入手でき(物理カードは別途発行料をとられる可能性はありますが)、しかもカードフェースはシンプルで美しい「Designed by Apple」というApple Card(の物理カード)。「いまいち」などと評されている今回のApple発表会ですが、ある種のクラスタにとっては「これが今回の目玉ハード」だったのかもしれません。
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