嵐の大野智主演の映画「忍びの国」が、4月2日TBS地上波ゴールデン放送だ。
大野智演じるのは忍者無門。「あやつの前に門は無し。ゆえに無門とはよう言うたもんじゃ」と言われる史上最強の忍び。でありながら、無類の怠け者で、金の亡者。とぼけた味を出しながら、めちゃくちゃかっこいい。大野智にピッタリのキャラクターだ。

大野智の集大成
「忍びの国」の公開は2017年7月1日。それからおよそ1年半後の2019年1月27日、大野がリーダーを務める嵐は「2020年12月31日をもって活動を休止する」と発表した。会見の中で大野は、2017年6月中旬ごろ(映画公開直前である)「自分の嵐としての活動をいったん終えたい、自由に生活が一回してみたい」とメンバーに伝えたと語った。
その事実を知った今、あらためて「忍びの国」を見ると、これはもうなんというか、主人公の無門と、大野智のシンクロっぷりが半端なくて、大野智集大成の映画である。
そもそも、映画に関するインタビューで「監督からそのままやってくれと言われて、逆に難しかった」と大野は答えている。
リキミがなく自分のスタイルを貫くが、いざとなったらやる、しかも超絶技巧で。という部分はまさに大野智。
殺陣のシーンも、尋常じゃない能力にユーモアをぶっこむ(デコピンで倒したりする)。
鎖帷子(くさりかたびら)を外し「戦場で外したことなどなかったからな。どう動くかわしにもわからんぞ」と言い放ち、槍を持つ者どもに360度かこまれたシーンでは、殺陣が完全にダンス。
自身で振り付けをすることもあるという大野智のキレッキレの身体と流れるような動きが堪能できる(満面の笑顔で槍をすりぬけていくのが楽しい)。また忍者たちが築城するシーンでは、のこぎりを引きながら歌も披露する。
ラブコメ要素も
殺陣や忍法だけではない。石原さとみ演じる妻お国とのやりとりはラブコメのノリ。「伊賀一の忍びの達者じゃ、それゆえにお国殿には銭の心配など一生かけぬ」と言ってさらってきたのだが、無門は彼女の尻にしかれて、家を追い出されている。銭を持って帰っても少ないと受け取ってもらえない。
「そういうこと言うなよ」「言われたくなければしっかりお稼ぎなさい」「ごもっとも」 絶対的な能力を持つが、恋愛となるとからっきしダメで不器用さを発揮してしまう役どころに「世界一難しい恋」で大野が演じた鮫島社長を思い出した。

忍者大進撃
「忍びの国」は、これまでのイメージとまったく異なる忍者を描いている。職人技を使いこなす隠れた存在ではなく、徒党を組んで大勢で進撃していく忍者が描かれたことはこれまでになかったのではないか。
織田信長の次男・信雄の軍団を伊賀の忍者の軍勢が打ち倒す「第一次伊賀攻め」という史実をベースに作られている。画面のあちこちで飛び跳ねたり走り抜けたりするたくさんの忍者は、みどころのひとつ。忍者ワンダーランドが舞台のファンタジー作品のようだ。
忍者たちのいざこざや謀略が渦巻くなか、すごい技を軽々と使って楽しそうにひょうひょうと難題を乗り越えていく無門は、まさに大野智だ。
「あとさき考えて無茶できるか!」
映画のラスト、「あとさき考えて無茶できるか!」とタンカをきった無門が選び取ったのは「自由」だ。大野智が「自分の嵐としての活動をいったん終えたい、自由に生活が一回してみたい」と言った姿とダブる。
無門が屈折しながらもかっこいいキャラクターだとすれば、日置大膳はイカした武士道まっしぐらのキャラクター。これを演じる伊勢谷友介がまたかっこいい。若くまだ自信を持てぬ武将の織田信雄をHey! Say! JUMPの知念侑李が熱演。下山平兵衛を、鈴木亮平。ナレーションは、山崎努。原作・脚本は、『のぼうの城』『村上海賊の娘』の和田竜。監督は、『映画怪物くん』の中村義洋。ラストに流れるのは、嵐「つなぐ」。
『忍びの国』いよいよ今夜4月2日20時57分よりTBS系列で放送です。
米光一成
ゲーム作家、デジタルハリウッド大学教授。代表作「ぷよぷよ」「はぁって言うゲーム」「はっきよいゲーム」等 Twitter
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