GPSは便利だ。筆者は歩けば迷う重度の方向音痴なので、GPSには頼りっぱなしである。
GPSは地球上のほとんどどこでも、いつでも使えるようになっている。電話が通じない圏外でもだ。
電波が通じない圏外でもGPSが使えること、その理由をご存じだろうか。
携帯の通信とGPSは違う電波

<GPSは衛星から>
GPSは、宇宙にある人工衛星からの電波を使って位置を知る仕組みだ。GPSに用いる衛星の電波は、衛星が一方的に地球に放っている(【補足】参照)。したがって地下で空からの電波が拾えない環境でない限り、GPSは使える。
【補足】GPSが位置を知る仕組み
携帯がGPSによって位置を知るときは、人工衛星が地球に向けて送出している「その衛星の」位置(≠受信機の位置)と、電波を発したときの時刻の情報を教えてもらう。電波は光の速さで地球に届くので、これで衛星と現在位置の位置関係が分かる。ただ、1つの衛星だけでは位置を確定できないので、複数(4つ以上)の衛星から発せられた電波を用いる。
<電話の通信は基地局から>
一方、携帯電話が通信しているのは基地局という、通信会社が設置する施設である。電話やインターネットを使うとき、携帯は近くにある基地局と無線通信を行う。基地局は、ほかの基地局との通信やインターネットの接続を実質的に担っている。
このような基地局は全国に数十万局(例えばドコモのLTE基地局は約18.5万局/2018年時点)存在し、携帯電話はその都度近くにある基地局を探して通信を行う。つまり、近くに基地局がない場所では携帯電話は使えないのである。
<なぜ、複数の衛星が必要?>
位置を知るというのは、言い換えれば3次元に対応する3つの未知数を求めるということ。1つの衛星の位置情報を用いると、3つの未知数を含んだ1本の方程式が得られるが、これは不定方程式(解が無限に存在する)。解を1つに定めるには3本の方程式が必要なので、位置情報は衛星3個分必要になる。
ただし、これは受信機の時刻が正確だったときの話であり、実際には不正確な時刻を補正する必要がある。これは「時刻」の変数を1個増やすことに相当するので、GPSの位置計算は衛星4個の情報で行う。

GPSで位置が分かるというと、人工衛星が携帯電話の位置を計算しているように錯覚してしまうが、これは誤り。人工衛星はヒントを地球に向けて発するだけで、携帯電話が位置を計算しているのだ。
おわりに
あらためて考えなければ、GPSが電話とは別の電波を受け取っているなんて考えもしない。そういった違いを意識せずに便利な機能を使えることこそが技術の恩恵である。技術に感謝!
参考文献
第3回 携帯電話・通信の仕組みと歴史|意外と知らない! 電話・通信の仕組み|法人のお客さま|NTT東日本
NTTドコモ 統合報告書2018 p.30 ネットワークサービスの提供
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