放送倫理・番組向上機構「BPO」の放送倫理検証委員会は7月5日、日本テレビ「謎とき冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ!」内で放送された2つの「祭り企画」に関して、「その程度は重いとはいえないものの放送倫理違反があったと言わざるを得ないと判断した」と審議の結果を公表した。

2017年2月に放送された「タイ・カリフラワー祭り」と2018年5月に放送された「ラオス・橋祭り」にでっち上げの疑いがあると週刊誌が報じた問題。当初は現地コーディネーターの提案によるものとしていたが、一部の祭りにおいて開催実績や開催経緯などの説明に誤りがあったと番組サイドが認め謝罪、「祭り」企画を当面休止する事態となった。

委員会では「現地コーディネーターによるリサーチからロケの実施までの過程を、制作スタッフがほとんど把握していなかったこと。『祭り』について十分な確認をしないまま『年に一度の』『前年王者』『今年も優勝の呼び声高い強豪』などと、実際とは異なるナレーションやスーパーをかぶせていた」ことなどを問題視した。そのうえで、「制作過程の重要な部分を制作者側が把握していなかった点で、その過程が適正に保たれていなかったと言うべきであり、ナレーションとスーパーで出演者がもともとある祭りに参加しているように視聴者を誘導した点で、多くの視聴者が番組に求める約束に反したものだったと言われても仕方がない」と、その程度は重いとはいえないものの放送倫理違反があったと言わざるを得ないと判断した。

それを受け日本テレビは、これまでに放送した「祭り企画」すべての内容について調査を行ったことを報告。それによると、初めて開催されたり不定期で開催された祭りに関して、「年に1度の」というナレーションで紹介していた企画が12件、安全対策や撮影許可などの事情で、主催者了解のもと開催場所を変更した企画が3件、ルールやコースのアレンジを主催者側に要請して認められた企画が8件、ロケや演出上の都合で開催時期の変更を主催者に要請し認められた企画が3件、不定期で開催実績のあったものを、主催者了解のもと、ロケ日程に合わせ調整した企画が23件あったとのこと。
日本テレビは「祭り」の成立過程についての把握が不十分で、「出演者が本気で挑戦する姿をありのまま伝える」という部分に意識がいきすぎ、「祭り」そのものへの意識が稀薄になり、正確な情報を把握せず、誤ったナレーションなどで、事実と異なる情報を視聴者に伝えてしまったと謝罪。出演者が本気で挑戦する姿を見せ、その中で起こる人間ドラマや、笑いと感動をみせることが目的とあらためて説明した。「祭りのねつ造や、でっち上げをする意図はありませんでした。『祭り企画』については、自信を持ってお伝えできる態勢が整い次第、再開したいと思っております」
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